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residuals

近似線形混合効果モデルの残差

説明

R = residuals(lme) は、近似線形混合効果モデル lme から生の条件付き残差を返します。

R = residuals(lme,Name,Value) は、1 つ以上の Name,Value のペア引数によって指定された追加オプションを使用して、線形混合効果モデル lme から残差を返します。

たとえば、ピアソン残差または標準化された残差あるいは固定効果のみからの寄与をもつ残差を指定できます。

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標本データを読み込みます。

load('weight.mat');

weight には長期間の調査によるデータが含まれています。そこには 20 人の被験者が 4 つの運動プログラムにランダムに割り当てられ、体重の減少が 6 回の 2 週間の期間にわたって記録されています。このデータは、シミュレーションされたものです。

データをテーブルに保存します。Subject および Program をカテゴリカル変数として定義します。

tbl = table(InitialWeight,Program,Subject,Week,y);
tbl.Subject = nominal(tbl.Subject);
tbl.Program = nominal(tbl.Program);

線形混合効果モデルを当てはめます。初期体重、プログラムの種類、週、週とプログラムの種類の間の交互作用は固定効果です。切片と週は被験者ごとに異なります。

lme = fitlme(tbl,'y ~ InitialWeight + Program*Week + (Week|Subject)');

近似値および生の残差を計算します。

F = fitted(lme);
R = residuals(lme);

残差と近似値の対比をプロットします。

plot(F,R,'bx')
xlabel('Fitted Values')
ylabel('Residuals')

Figure contains an axes object. The axes object with xlabel Fitted Values, ylabel Residuals contains a line object which displays its values using only markers.

次に、プログラム別にグループ化された、残差と近似値の対比をプロットします。

figure();
gscatter(F,R,Program)

Figure contains an axes object. The axes object with xlabel F, ylabel R contains 4 objects of type line. One or more of the lines displays its values using only markers These objects represent A, B, C, D.

残差は、予測どおりプログラムの全水準で同様の動作を示しているように見えます。

標本データを読み込みます。

load carbig

ガロンあたりの走行マイル数 (MPG)、加速度、馬力、気筒数およびモデル年の変数をテーブルに保存します。

tbl = table(MPG,Acceleration,Horsepower,Cylinders,Model_Year);

ガロンあたりの走行マイル数 (MPG) の線形混合効果モデルを当てはめます。この近似では、加速度、馬力、気筒数に対する固定効果と、モデル年度によってグループ化される切片と加速度に対する、相関された可能性がある変量効果を使用します。

lme = fitlme(tbl,'MPG ~ Acceleration + Horsepower + Cylinders + (Acceleration|Model_Year)');

条件付きピアソン残差を計算し、最初の 5 つの残差を表示します。

PR = residuals(lme,'ResidualType','Pearson');
PR(1:5)
ans = 5×1

   -0.0533
    0.0652
    0.3655
   -0.0106
   -0.3340

限界ピアソン残差を計算し、最初の 5 つの残差を表示します。

PRM = residuals(lme,'ResidualType','Pearson','Conditional',false);
PRM(1:5)
ans = 5×1

   -0.1250
    0.0130
    0.3242
   -0.0861
   -0.3006

標本データを読み込みます。

load carbig

ガロンあたりの走行マイル数 (MPG)、加速度、馬力、気筒数およびモデル年の変数をテーブルに保存します。

tbl = table(MPG,Acceleration,Horsepower,Cylinders,Model_Year);

ガロンあたりの走行マイル数 (MPG) の線形混合効果モデルを当てはめます。この近似では、加速度、馬力、気筒数に対する固定効果と、モデル年度によってグループ化される切片と加速度に対する、相関された可能性がある変量効果を使用します。

lme = fitlme(tbl,'MPG ~ Acceleration + Horsepower + Cylinders + (Acceleration|Model_Year)');

生の残差のヒストグラムを正規近似とともに描画します。

r = residuals(lme);
histfit(r)

Figure contains an axes object. The axes object contains 2 objects of type bar, line.

正規分布は、残差に対する近似が適切になっているように見えます。

条件付きピアソン残差と標準化された残差を計算し、3 つのすべてのタイプの残差の箱ひげ図を作成します。

pr = residuals(lme,'ResidualType','Pearson');
st = residuals(lme,'ResidualType','Standardized');
X = [r pr st];
boxplot(X)

Figure contains an axes object. The axes object contains 21 objects of type line. One or more of the lines displays its values using only markers

赤のプラス記号は、残差が q3+1.5(q3-q1) を上回るか q1-1.5(q3-q1) を下回る観測値を示しています。ここで、q1 および q3 はそれぞれ 25 番目および 75 番目の百分位数です。

平均を超えるおよび下回る 2.5 の標準偏差の残差をもつ観測を見つけます。

find(r > mean(r,'omitnan') + 2.5*std(r,'omitnan'))
ans = 7×1

    62
   252
   255
   330
   337
   341
   396

find(r < mean(r,'omitnan') - 2.5*std(r,'omitnan'))
ans = 3×1

   119
   324
   375

入力引数

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線形混合効果モデル。fitlme または fitlmematrix を使用して構築した LinearMixedModel オブジェクトとして指定します。

名前と値の引数

オプションの引数のペアを Name1=Value1,...,NameN=ValueN として指定します。ここで Name は引数名、Value は対応する値です。名前と値の引数は他の引数の後ろにする必要がありますが、ペアの順序は関係ありません。

R2021a より前では、名前と値をそれぞれコンマを使って区切り、Name を引用符で囲みます。

例: R = residuals(lme,'ResidualType','Pearson');

条件付き残差のインジケーター。'Conditional' と、以下のいずれかで構成されるコンマ区切りペアとして指定します。

True固定効果と変量効果の両方からの寄与 (条件付き)
False固定効果のみからの寄与 (限界)

例: 'Conditional,'False'

残差タイプ。ResidualType と、次のいずれかで構成されるコンマ区切りのペアとして指定します。

残差タイプ条件限界
'Raw'

riC=[yXβ^Zb^]i

riM=[yXβ^]i

'Pearson'

priC=riC[Var^y,b(yXβZb)]ii

priM=riM[Var^y(yXβ)]ii

'Standardized'

stiC=riC[Var^y(rC)]ii

stiM=riM[Var^y(rM)]ii

条件付き残差と限界残差、残差分散についての詳細は、このページの末尾の「Definitions」を参照してください。

例: 'ResidualType','Standardized'

出力引数

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n 行 1 列のベクトルとして返される近似線形混合モデル lme の残差。ここで、n は観測値の数です。

詳細

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条件付き残差と限界残差

条件付き残差には、固定効果と変量効果両方からの寄与が含まれますが、限界残差には固定効果からの寄与だけが含まれます。

線形混合効果モデル lme には、n 行 p 列の固定効果の計画行列 X と、n 行 q 列の変量効果の計画行列 Z があるものとします。また、推定した p 行 1 列の固定効果ベクトルが β^、変量効果について推定した q 行 1 列の最良線形不偏予測量 (BLUP) ベクトルが b^ であるとします。近似条件付き応答は以下のようになります。

y^Cond=Xβ^+Zb^,

また、近似限界応答は以下のようになります。

y^Mar=Xβ^,

residuals は 3 種類の残差 (生、ピアソン、標準化) を返すことができます。どのタイプでも、条件付き残差または限界残差を計算できます。たとえば、生の条件付き残差は次のようになります。

rCond=yXβ^Zb^,

および生の限界残差は次のようになります。

rMar=yXβ^.

他のタイプの残差についての詳細は、ResidualType の名前と値のペアの引数を参照してください。

バージョン履歴

R2013b で導入