推定された周波数応答の解析
周波数応答の推定を実行する際は、生のシミュレートされた応答と、その推定された周波数応答への変換に使用された FFT を調べることにより、結果を解析することができます。そのためには、診断ビューアー (モデル線形化器で) またはシミュレーション結果のビューアー (MATLAB® コマンド ラインで) を使用します。
シミュレーション結果の表示
モデル線形化器を使用したシミュレーション結果の表示
診断ビューアーを使用して、モデル線形化器を使用した周波数応答の推定の手順を実行して取得した周波数応答推定の結果を解析します。推定を実行する前に、診断ビューアーを有効にする追加手順が必要です。そのためには、[推定] タブで [診断ビューアー] を選択します。
その後、推定を実行します。プロット ペインに [診断ビューアー] が表示されます。
[診断ビューアー] を開いて以前に推定したモデルをモデル線形化器で表示するには、次の手順に従います。
[線形解析ワークスペース] で、推定したモデルを選択します。
[プロットと結果] タブで [診断の表示] をクリックします。
メモ
このオプションが使用可能なのは、以前に [診断ビューアー] チェック ボックスをオンにして推定したモデルのみです。
シミュレーション結果の表示 (MATLAB コード)
シミュレーション結果のビューアーを使用し、コマンド ラインでの周波数応答の推定の手順を実行して取得した周波数応答推定の結果を解析します。frestimate
の simout
出力引数を必ず保持してください。
frest.simView
コマンドを使ってシミュレーション結果のビューアーを開くには、シミュレートした出力 simout
、推定に使用した入力信号 input
、取得した推定周波数応答 sysest
を使用します。
frest.simView(simout,input,sysest)
周波数応答の推定結果の解釈
診断ビューアーに表示するプロットの選択
既定では、診断ビューアーには次のプロットが表示されます。
周波数応答
時間応答 (シミュレーションされた出力)
時間応答の FFT
モデル線形化器を使用して診断ビューアーに表示するプロットを選択するには、次の手順に従います。
[診断ビューアー] タブが表示されない場合は、[プロットと結果] タブで [診断ビューアー] プロットを選択します。
[診断ビューアー] タブの [プロットの可視化] セクションで、表示するプロットを選択します。
軸の周波数単位などのプロット設定を変更するには、プロットを右クリックして、対応するオプションを選択します。
シミュレーション結果のビューアーに表示するプロットの選択
既定では、シミュレーション結果のビューアーには次のプロットが表示されます。
周波数応答
時間応答 (シミュレーションされた出力)
時間応答の FFT
シミュレーション結果のビューアーに表示するプロットを選択するには、[編集] 、 [プロット] メニューから対応するプロットを選択します。軸の周波数単位などのプロット設定を変更するには、プロットを右クリックして対応するオプションを選択します。
周波数応答
周波数応答を解析するには、ボード線図を使用します。周波数応答がシステムのダイナミクスと一致しない場合、考えられる原因と解決方法については、周波数応答推定のトラブルシューティングを参照してください。トラブルシューティング時は、ボード線図のコントロールを使用すると、問題のある周波数で時間応答を表示できます。
通常、入力信号を変更するか、システムを操作点から離すモデル ブロックを無効にして、推定を繰り返すと、推定結果を改善できます。
時間応答 (シミュレーションされた出力)
このプロットは、シミュレーションされた出力が特定の周波数で定常状態にあるかどうかを確認するときに使用します。応答が定常状態に到達していない場合、考えられる原因と解決方法は、時間応答が定常状態にならないを参照してください。
推定に sinestream 入力を使用した場合は、フィルター処理された時間応答とフィルター処理されていない時間応答の両方を確認します。プロットを右クリックして [フィルター後の定常状態の出力のみ表示] を選択すると、フィルター処理された出力とフィルター処理されていない出力の表示を切り替えることができます。フィルター処理された応答とフィルター処理されていない応答の両方が定常状態で表示された場合、モデルは定常状態でなければなりません。その他の考えられる原因を周波数応答推定のトラブルシューティングで調べることができます。
メモ
推定に sinestream 入力を使用した場合、フィルター処理された表示とフィルター処理されていない表示の切り替えによってのみ時間応答プロットと FFT プロットが更新されます。この選択では、推定結果は変更されません。推定時のフィルター処理の詳細については、frestimate
の「アルゴリズム」の節を参照してください。
時間応答の FFT
このプロットは、シミュレーションされた出力のスペクトルを解析するときに使用します。
たとえば、スペクトルを使用すると、強い非線形性を特定できます。FFT プロットに入力信号以外の周波数で大きな振幅が表示された場合、モデルは線形範囲外で動作しています。小さな摂動に対するシステムの線形応答の解析に関心がある場合は、FFT に、入力信号の周波数以外の周波数で大きな高周波が含まれるで可能な解決方法を調べてください。
特定の周波数におけるシミュレーションされた出力と FFT の解析
モデル線形化器の診断ビューアーの使用
モデル線形化器の [診断ビューアー] タブにあるコントロールを使用して、特定周波数での推定結果を解析します。
[診断ビューアー] タブが表示されない場合は、[プロットと結果] タブで [診断ビューアー] プロットを選択します。
[診断ビューアー] タブの [周波数セレクター] セクションで、検証する周波数範囲を指定します。[診断ビューアー] で、ボード線図に使用する周波数単位を使用します。
シミュレーション結果のビューアーの使用
特定の周波数でシミュレートされた出力とそのスペクトルを表示するには、シミュレーション結果のビューアーで、ボード線図のコントロールを使用します。
矢印を個別にドラッグして、特定周波数における時間応答と FFT を表示します。
影付きの領域をドラッグして、時間応答と FFT を別の周波数範囲に移動します。
周波数応答推定プロットの注釈付け
対応する曲線をクリックすると、シミュレーション結果のビューアーで時間応答、FFT およびボード線図にデータ ヒントを表示できます。データ ヒントをドラッグすると情報が更新されます。
データ ヒントは、特定の sinestream 周波数における不正確な推定結果を修正するのに便利です。こうするには、特定の周波数で入力を変更する必要があります。データ ヒントを使用すると、応答がシステムに一致していない周波数インデックスを特定できます。
前の図では、時間応答のデータ ヒントに周波数インデックスが 11 であることが示されています。この周波数インデックスを使用すると、入力信号の対応する部分を変更できます。たとえば、MATLAB コードを使用して sinestream 信号の NumPeriods
プロパティと SettlingPeriods
プロパティを変更するには、次を行います。
input.NumPeriods(11) = 80; input.SettlingPeriods(11) = 75;
モデル線形化器で sinestream を変更するには、モデル線形化器を使用した sinestream 信号の変更を参照してください。
多入力多出力 (MIMO) システムの推定結果の表示
MIMO システムの場合、次のようにして特定の入力および出力チャネルの周波数応答の情報を表示します。
診断ビューアーとシミュレーション結果のビューアーの両方で、任意のプロットを右クリックして [I/O セレクター] を選択します。
[下限] リストから入力チャネルを選択し、[上限] リストから出力チャネルを選択します。
結果の間引き
推定された周波数応答の結果に多数の周波数点が含まれている場合に、特定の分解能における特定の周波数範囲のデータに関心があるときは、モデル線形化器の [結果の間引き] を使用して、推定された周波数応答 frd
モデルから目的の周波数範囲と周波数点の数を指定して内挿された周波数応答データを抽出できます。
推定された周波数応答の結果に間引きを適用するには、[線形解析ワークスペース] ペインまたは [MATLAB ワークスペース] ペインで推定したモデルを選択します。次に、[プロットと結果] タブで [結果の間引き] をクリックします。
[周波数の指定] ダイアログ ボックスで、周波数を range
または values
で指定します。既定では、対数的に等間隔な周波数または線形的に等間隔な周波数を範囲で指定できます。周波数を値で指定するには、[指定基準] リストで [値]
を選択し、[値] パラメーターを使用して周波数値のベクトルを指定します。周波数値は、間引きを適用するモデルの最小周波数点と最大周波数点の間に存在しなければなりません。
[OK] をクリックします。線形内挿が実行され、指定した周波数の内挿された周波数応答データを含む frd
モデルが返されます。
PRBS 入力信号を使用して推定された応答の間引きの例については、モデル線形化器での 2 値疑似乱数列を使用した周波数応答の推定を参照してください。
参考
frest.simView
| frest.simCompare
| frestimate