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端子の値のラベルを使用した信号値の表示

"端子の値のラベル" には、ツールヒントやデータ ヒントのように、ブロック線図内の信号線の上に重ねて表示されるラベルとして信号の値が表示されます。シミュレーションの実行前と実行中は、モデル全体で端子の値のラベルを追加および削除できます。端子の値のラベルを他の可視化オプションと共に使用して、モデルを理解、解析、およびデバッグします。

A port value label on the output signal of an Integrator block named x1 shows the current signal value 2. The port value label is a yellow text box that floats over the canvas.

端子の値のラベルは、シミュレーションで使用されているデータ バッファーを調べて信号値にアクセスします。場合によっては、信号を生成する出力端子がシミュレーション内のデータ バッファーに直接対応していないことがあります。モデルで端子の値のラベルを追加および削除しても、信号値を表示できるようにするためであっても、モデルは一切変更されません。モデルの変更を行わないとアクセスできない値をもつ信号に端子の値のラベルを追加しようとすると、ラベルには信号値ではなくその時点のモデルでは信号値にアクセスできないことを示すテキストが表示されます。詳細については、端子の値のラベルで表示されるテキストの理解を参照してください。

フォント サイズやアクティブなシミュレーション中に値が更新される頻度など、端子の値のラベルに関連する設定を構成できます。端子の値のラベルおよび端子の値のラベルの設定は、モデルの一部として保存されません。

データを表示するオプションの詳細については、シミュレーション データの可視化方法の決定を参照してください。

端子の値のラベルの追加と削除

モデルがシミュレーションで実行されていないときは、一度に 1 つの信号、複数の選択した信号、または現在のブロック線図内のすべての信号に端子の値のラベルを追加できます。

  • 1 つ以上の信号を選択します。次に、Simulink® ツールストリップの [デバッグ] タブの [ツール] セクションの [端子の値] ボタン グループで [選択した信号の端子の値のラベルを表示します] をクリックします。

  • 1 つ以上の信号を選択します。次に、[信号] タブで [出力値ラベル] をクリックします。

  • 選択した 1 つ以上の信号を右クリックします。次に、コンテキスト メニューで [選択した信号の端子の値のラベルを表示します] を選択します。

シミュレーション中は、既定では、信号線をクリックすると、その信号線の端子の値のラベルが追加または削除されます。

  • 端子の値のラベルが表示されている場合、信号線をクリックすると、端子の値のラベルが削除されます。

  • 端子の値のラベルが表示されていない場合、信号線をクリックすると、端子の値のラベルが追加されます。

[値ラベルの表示オプション] ダイアログ ボックスを使用してこの動作を制御できます。シミュレーション中に端子の値のラベルを追加および削除するシングルクリック オプションを無効にするには、以下のようにします。

  1. [デバッグ] タブの [ツール] セクションの [端子の値] ボタン グループで [端子の値のラベルをすべて削除します] ボタンの矢印 をクリックします。

  2. [オプション] を選択します。

  3. [値ラベルの表示オプション] ダイアログ ボックスの [値を表示] セクションで [シミュレーション時に既定で有効にする] をクリアします。

端子の値のラベルを 1 つ以上の信号線に追加すると、そのラベルが信号線上に表示されます。シミュレーションの実行前またはシミュレーションで一時停止中に端子の値のラベルを追加すると、ラベルには最初は no data yet と表示されます。これは、端子の値のラベルを追加した後にブロックがまだ実行されていないからです。

A port value label on the output of an Integrator block named x1 shows the message no data yet.

ステップを進めてシミュレーションを開始、続行、または進行すると、アクションによって信号値を生成するブロックが実行された場合、端子の値のラベルが更新されて信号値が表示されます。たとえば、[ステップを進める] をクリックすると、上のイメージの端子の値のラベルが更新されて信号値が表示されます。

The port value label on the output of the Integrator block named x1 shows the current signal value 2.

端子の値のラベルに inaccessible などの別のメッセージが表示されている場合、モデル内のその端子および信号では端子の値のラベルがサポートされていない可能性があります。詳細については、端子の値のラベルで表示されるテキストの理解を参照してください。

端子の値ラベルを削除すると、表示されていた値は保持されません。直後に端子の値のラベルを再度追加すると、信号を生成するブロックが再度実行されるまで、値として no data yet が表示されます。

モデル内の特定の端子の値のラベルを削除するには、以下のようにします。

  1. 選択した 1 つ以上の信号を右クリックします。

  2. コンテキスト メニューで [選択した信号の端子の値のラベルを表示します] をクリアします。

モデル内の端子の値のラベルをすべて削除するには、[デバッグ] タブの [ツール] セクションの [端子の値] ボタン グループで [端子の値のラベルをすべて削除します] をクリックします。

端子の値のラベルをプログラムで追加および削除することはできません。

以下の例では、端子の値のラベルを使用してモデルを解析およびデバッグする方法が示されています。

端子の値のラベル設定の構成

[値ラベルの表示オプション] ダイアログ ボックスを使用して、値の表示のフォント サイズ、表示される値のおおよその更新頻度、数値の表示形式など、端子の値のラベルに関連する複数のオプションを構成できます。

[値ラベルの表示オプション] ダイアログ ボックスを開くには、[デバッグ] タブの [ツール] セクションの [端子の値] ボタン グループで [端子の値のラベルをすべて削除します] ボタンの矢印 をクリックします。次に、[オプション] を選択します。

構成した設定は、モデル内のすべての端子の値のラベルに適用されます。端子の値のラベルの設定は、モデルと一緒に保存されません。端子の値のラベルの設定をプログラムで構成することはできません。

[更新間隔の近似] 設定では、それぞれの端子の値のラベルで表示される値が更新されるおおよその頻度を指定します。多くの場合、信号値はシミュレーション中、読み取ることができないほど頻繁に更新されます。既定では、モデルの [更新間隔の近似] は 1 秒です。ソース ブロックの出力メソッドが実行されるたびに端子の値のラベルが更新されるのではなく、値は約 1 秒に 1 回更新されます。

バスにおける端子の値のラベルの構成

バスの信号線またはバスとしてペイロードを伝送するメッセージの信号線に端子の値のラベルを追加すると、既定では、端子の値のラベルにはバスのすべてのリーフ要素の名前と値が表示されます。たとえば、ソース ブロックからの出力信号を使用してバス階層を作成する次のモデルについて考えます。

Five different source blocks create signals that Bus Creator blocks combine to create a bus hierarchy with three buses. The top bus named main_bus contains two nested buses named bus1 and bus2. A Bus Selector block connects the bus elements named Pulse and Chirp to a Scope block.

端子の値のラベルをバス main_bus に追加すると、端子の値ラベルには no data yet と表示されます。

The port value label shows the text no data yet.

ステップを進めてシミュレーションを開始、続行、または進行すると、端子の値のラベルが更新され、バス内のすべてのリーフ要素の名前と値が表示されます。

The port value shows a flat list of bus element names and values.

端子の値のラベルに表示するバス要素を選択できます。

  1. バスの端子の値のラベルをクリックします。

  2. 表示されたメニューで、表示する要素を選択します。バスを選択すると、そのすべての要素が選択されます。

The port value label bus element menu for the bus named main_bus has the Chirp signal in bus1 and all signals in bus2 selected.

メニューの外側の任意の場所をクリックすると、メニューが閉じます。端子の値のラベルには、選択した要素のみが、各要素の値として no data yet というテキストと共に表示されます。表示するバス要素の選択を変更すると、端子の値のラベルに前に表示されていた値が破棄されます。

The port value label on the bus named main_bus displays the text no data yet as the value for the Chirp, Clock, Pulse, and Sine signals

モデルをシミュレートすると、端子の値のラベルが更新され、選択したバス要素の値が表示されます。

The port value label on the bus named main_bus displays the names and values of the Chirp, Clock, Pulse, and Sine signals.

多数の要素が含まれているバス階層を扱う際には、以下のオプションを使用することを検討してください。

  • メニューの上部にあるテキスト ボックスを使用して、名前でバス要素を検索する。

  • メニューに表示される項目を減らすために、[選択のみ表示] を選択する。

    端子の値のラベルに表示するように選択した要素のみがメニューに表示されます。追加の要素を選択するには、名前で要素を検索します。検索結果がメニューに表示されるので、そこで選択できます。

  • バス階層を示すツリーでノードを折りたたむ。

端子の値のラベルで表示されるテキストの理解

端子の値のラベルには、信号値ではなく複数のメッセージのいずれかが表示されることがあります。たとえば、関数呼び出し信号などの一部の信号タイプにおける端子の値のラベルには、信号タイプを示すメッセージが表示されます。また、使用可能なスペースに信号値を表示するのが困難な場合やその時点のモデルでは信号値にアクセスできない場合に、端子の値のラベルにメッセージが表示されることがあります。

次の表は、信号タイプを示す端子の値のラベルのメッセージをまとめたものです。

端子の値のラベルのメッセージ信号タイプ
action

If-Action Subsystem などの Action Subsystem の実行を制御するアクション信号

fcn-call

Function-Call Subsystem を制御する関数呼び出し信号

ground

Ground ブロックの出力信号

not a data signal

コメントアウトされているブロックの出力信号など、有効なデータが含まれていない信号

[m*n]

2 次元の信号

端子の値のラベルには、要素の値ではなく、信号の次元が表示されます。

次の表は、信号値にアクセスできるが値を表示できないことを示す端子の値のラベルのメッセージをまとめたものです。

端子の値のラベルのメッセージコンテキスト
...

ベクトル信号内の要素数が、[値ラベルの表示オプション] ダイアログ ボックスで構成されている、表示する最大要素数を超えています。

click to add signals

バスにおける端子の値のラベルで、表示する要素が選択されていません。バス要素を選択するには、端子の値のラベルをクリックします。

次の表は、信号値にアクセスできないことを示す端子の値のラベルのメッセージをまとめたものです。

メッセージコンテキスト
no data yet

端子の値のラベルを追加した後にソース ブロックの出力メソッドが実行されていないため、信号値が利用可能ではありません。

この値は、ノーマル モードの可視性をもたないモデル参照インスタンス内の端子の値のラベルに対しても表示されます。

端子の値ラベルを削除すると、表示されていた値は保持されません。直後に端子の値のラベルを再度追加すると、信号を生成するブロックが再度実行されるまで、値としてこのメッセージが表示されます。

メッセージなし

使用可能なシミュレーション データが不十分です。

シミュレーションを開始、続行、または進行してみてください。

inaccessible

モデルの構造のため、出力端子の値にアクセスできません。

端子の値のラベルでこのメッセージが表示されるのは、[信号ストレージの再利用] (Simulink Coder) モデル コンフィギュレーション パラメーターが選択されているときに生成コードでメモリを共有する信号の場合です。

not used

出力端子の値がシミュレーションで使用されていないため、出力端子の値にアクセスできません。

removedソース ブロックがブロック削減によって削除されたため、出力端子の値にアクセスできません。詳細については、ブロック削減を参照してください。
optimized

最適化のため、信号値にアクセスできません。

端子の値のラベルには、以下のようなブロックの出力信号に対してこのメッセージが表示されます。

  • アクセラレータ モードのシミュレーション用にシミュレーション ターゲット外で最適化されている

  • [条件付き入力分岐実行] モデル コンフィギュレーション パラメーターが選択されているため、コンパイルされたモデル外で最適化されている

  • 別の理由により、コンパイルされたモデル外で最適化されている

unavailable

データが利用可能でないため、出力端子の値にアクセスできません。

端子の値のラベルでこのメッセージが表示されるのは、端子の値のラベルを追加したときより前のシミュレーション時間にステップを戻した場合です。

端子の値のラベルに表示させたい値にアクセスできないときは、モデルを変更すると信号値が利用可能になる場合があります。たとえば、以下を行うと、信号値が利用可能になることがあります。

  • Display ブロック、Scope ブロック、スコープ ビューアーなど、他の可視化オプションを使用して信号値を表示する。

  • 信号をログ記録用にマークする。

  • [信号プロパティ] ダイアログ ボックスを使用してテスト ポイントとして信号を指定する。

端子の値のラベルの使用に関する追加の考慮事項

次の表は、複数のワークフローおよびモデル化パターンに基づいて、端子の値のラベルの使用に関連した考慮事項をまとめたものです。

ワークフローまたはモデル化パターン端子の値のラベルの使用に関する考慮事項
シミュレーションのパフォーマンス[値ラベルの表示オプション] ダイアログ ボックスで [ポイント時に表示] または [クリック時に切り替え] を選択すると、シミュレーション速度が低下することがあります。
アクセラレータおよびラピッド アクセラレータのシミュレーション

端子の値のラベルには、アクセラレータ モード用にシミュレーション ターゲット外で最適化されているブロックの出力信号に対する値は表示されません。

端子の値のラベルは、ラピッド アクセラレータ シミュレーションではサポートされていません。

プログラムによるシミュレーション端子の値のラベルは、関数 sim を使用して開始されたシミュレーションではサポートされていません。
固定小数点データ端子の値のラベルには、固定小数点データ型の信号の変換された double 値が表示されます。
モデル参照端子の値のラベルには、ノーマル モードの可視性をもつモデル参照インスタンスのデータが表示されます。詳細については、ノーマル モードでの複数の参照モデル インスタンスのシミュレーションを参照してください。
サブシステムの入力端子多くの場合、サブシステム内の入力端子を表すブロックはバーチャルです。サブシステム内の入力端子における端子の値のラベルには、入力端子を表すブロックがバーチャルの場合に、端子を駆動するブロックの出力値が表示されます。
Variant Subsystem端子の値のラベルでは、入力信号のない Variant Subsystem 内にあるサブシステムの端子のデータにアクセスできません。
Disabled Subsystem

端子の値のラベルでディセーブル状態の条件付き実行サブシステムの出力端子のデータが表示されるかどうかは、条件付き実行サブシステムを表すブロックの [ディセーブル時の出力] パラメーター設定によって決まります。

端子の値のラベルには、ディセーブル状態の Enabled Subsystem の出力端子のデータは表示されません。

Signal Specification ブロック端子の値のラベルには、端子を駆動するブロックの出力値が表示されます。
Merge ブロック端子の値のラベルは、Merge ブロックの入力端子に接続されている信号ではサポートされていません。
Simscape™

端子の値のラベルは、Simscape 信号などの一部の信号タイプではサポートされていません。

ブロック線図で Simscape 信号のデータを表示するには、スパークライン プロットを追加します。詳細については、シミュレーション データのスパークライン プロットの表示 (Simscape)を参照してください。

モデル コンフィギュレーション パラメーター

端子の値のラベルには、ブロックの出力メソッドが実行されたときに生成された値のみが表示されます。ログ記録用にリファイン ファクターを指定した場合、端子の値のラベルには、ログ記録されたデータを調整するために生成された値は表示されません。詳細については、リファイン ファクターを参照してください。

以下のパラメーターを有効にした場合、端子の値のラベルでは一部の信号のデータにアクセスできないことがあります。

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