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Simulink.DualScaledParameter

Simulink の 2 つのスケール パラメーターの名前、値、単位およびその他のプロパティの指定

説明

同じ物理値の 2 つのスケール値を保存するオブジェクトを定義できるように、Simulink.DualScaledParameter を使用します。

たとえば、温度測定の場合は、指定した計算方法で定義されている変換を使用して華氏のスケールと摂氏のスケールを保存できます。一方のスケール値を指定すると、Simulink.DualScaledParameter は計算方法を使用してもう一方のスケール値を計算します。

2 つのスケール パラメーターは一部のプロパティを Simulink.Parameter クラスから継承します。2 つのスケール パラメーターには次が含まれています。

  • キャリブレーション値。優先して使用する値です。

  • メイン値。Simulink® で使用する実際値です。

  • 内部に格納された整数値。組み込みコードで使用される値です。

シミュレーションとコード生成の両方のモデルで Simulink.DualScaledParameter オブジェクトを使用できます。計算方法によるコード生成の前に、パラメーターで内部値が計算されます。このオフラインの計算により、効率的なコードが生成されます。

キャリブレーション値を指定すると、パラメーターは計算方法を使用してメイン値を計算します。このメソッドは、1 次有理関数にすることができます。

y=ax+bcx+d

  • x はキャリブレーション値です。

  • y はメイン値です。

  • a および b は、CalToMain 計算分子の係数です。

  • c および d は、CalToMain 計算分母の係数です。

キャリブレーションの最小値と最大値を指定すると、メイン値の最小値と最大値が計算されます。Simulink では、パラメーター値の範囲チェックが実行されます。パラメーター オブジェクトの値が、指定した最小値と最大値およびデータ型に対応する範囲外であるときに警告が表示されます。

作成

次の方法で Simulink.DualScaledParameter オブジェクトを作成します。

  • モデル データ エディターを使用する。Simulink.Parameter オブジェクトを作成する代わりに、Simulink.DualScaledParameter オブジェクトを作成します。

  • モデル エクスプローラーを使用する。

    1. [モデルの階層構造] ペインで、ワークスペースまたはデータ ディクショナリを選択します。

    2. ツール バーで、[追加][カスタムの追加] を選択します。

    3. [モデル エクスプローラー — オブジェクトを選択] ダイアログ ボックスで、[オブジェクト クラス][Simulink.DualScaledParameter] に設定します。

  • 以下の説明に従って、関数 Simulink.DualScaledParameter を使用する。

説明

DSParam = Simulink.DualScaledParameter は、既定のプロパティ値をもつ Simulink.DualScaledParameter オブジェクトを返します。

プロパティ

すべて展開する

Simulink.DualScaledParameter オブジェクトのプロパティ ダイアログ ボックスのプロパティの詳細については、Simulink.DualScaledParameter プロパティ ダイアログ ボックスを参照してください。

このパラメーターのキャリブレーション値。有限で実数の double の数値として指定します。この値は優先して使用する値を表します。

CalibrationValue を指定する前に、CalToMainCompuNumeratorCalToMainCompuDenominator を指定して計算方法を定義しなければなりません。このパラメーターでは、その計算方法とキャリブレーション値を使用して、Simulink で使用するメイン値を計算します。

プロパティ ダイアログ ボックスの [キャリブレーション値] に対応します。

例: 5.34

データ型: double

このパラメーターのキャリブレーション最小値。有限で実数の double のスカラー数として指定します。既定値 [] は最小が指定されていないことを意味します。

CalibrationMin を指定する前に、CalToMainCompuNumeratorCalToMainCompuDenominator を指定して計算方法を定義しなければなりません。このパラメーターでは、計算方法とキャリブレーション最小値を使用して、Simulink で使用する最小値あるいは最大値を計算します。1 次有理関数は厳密に単調で、増加または減少のどちらかです。増加する場合、キャリブレーション最小値を設定すると、メイン最小値が設定されます。減少する場合、キャリブレーション最小値を設定すると、メイン最大値が設定されます。

パラメーター値が最小値よりも小さいか、最小値がパラメーターのデータ型の範囲外である場合、Simulink で警告が生成されます。このような場合は、ブロック線図を更新したり、シミュレーションを開始すると、Simulink でエラーが生成されます。

プロパティ ダイアログ ボックスの [キャリブレーション最小値] に対応します。

例: 10.51

データ型: double

このパラメーターのキャリブレーション最大値。有限で実数の double のスカラー数として指定します。既定値 [] は最大が指定されていないことを意味します。

CalibrationMax を指定する前に、CalToMainCompuNumeratorCalToMainCompuDenominator を指定して計算方法を定義しなければなりません。このパラメーターでは、計算方法とキャリブレーション最大値を使用して、Simulink で使用する対応する最大値あるいは最小値を計算します。1 次有理関数は厳密に単調で、増加または減少のどちらかです。増加する場合、キャリブレーション最大値を設定すると、メイン最大値が設定されます。減少する場合、キャリブレーション最大値を設定すると、メイン最小値が設定されます。

パラメーター値が最小値よりも小さいか、最小値がパラメーターのデータ型の範囲外である場合、Simulink で警告が生成されます。このような場合は、ブロック線図を更新したり、シミュレーションを開始すると、Simulink でエラーが生成されます。

プロパティ ダイアログ ボックスの [キャリブレーション最大値] に対応します。

例: -10.51

データ型: double

計算方法の分子係数。線形 1 次方程式の分子係数 ab に対する値のスカラー数またはベクトルとして指定します。

y=ax+bcx+d

既定値は [] (指定なし) です。a および b の有限で実数の double のスカラー値を指定します。たとえば、[1 1] または逆数スケーリングの場合は 1 のようにします。

CalToMainCompuNumerator は一度適用すると、変更できません。

プロパティ ダイアログ ボックスの [CalToMain 計算分子] に対応します。

例: [1 1]

例: 1

データ型: double

計算方法の分母係数。線形 1 次方程式の分母係数 cd の値に対する値のスカラー数またはベクトルとして指定します。

y=ax+bcx+d

既定値は [] (指定なし) です。c および d の有限で実数の double のスカラー値を指定します。たとえば、[1 1] とします。

CalToMainCompuDenominator は一度適用すると、変更できません。

プロパティ ダイアログ ボックスの [CalToMain 計算分母] に対応します。

例: [1 1]

データ型: double

キャリブレーション パラメーターの名前。文字ベクトルとして指定します。

プロパティ ダイアログ ボックスの [キャリブレーション名] に対応します。

例: 'This is a calibration parameter.'

データ型: char

このキャリブレーション パラメーターの値の測定単位。文字ベクトルとして指定します。

プロパティ ダイアログ ボックスの [キャリブレーション単位] に対応します。

例: 'Fahrenheit'

データ型: char

この プロパティ は読み取り専用です。

オブジェクト コンフィギュレーションの有効性に関する情報。true (有効) または false (無効) として返されます。Simulink でコンフィギュレーションの問題が検出されると、このフィールドは false に設定され、DiagnosticMessage プロパティに情報が提供されます。

プロパティ ダイアログ ボックスの [コンフィギュレーションの有効性] に対応します。

データ型: logical

この プロパティ は読み取り専用です。

無効なオブジェクト コンフィギュレーションに関する診断情報。文字ベクトルとして返されます。無効なプロパティ設定を指定すると、Simulink ではこのフィールドにメッセージが表示されます。診断情報を使用して、無効なコンフィギュレーションの問題を修正することができます。

プロパティ ダイアログ ボックスの [診断メッセージ] に対応します。

データ型: char

すべて折りたたむ

温度を華氏と摂氏の両方で保存する Simulink.DualScaledParameter オブジェクトを作成します。

Simulink.DualScaledParameter オブジェクトを作成します。

Temp = Simulink.DualScaledParameter;

華氏と摂氏を変換する計算方法を設定します。

Temp.CalToMainCompuNumerator = [1 -32];  
Temp.CalToMainCompuDenominator = [1.8];

華氏で表示する温度の値を設定します。

Temp.CalibrationValue = 212
Temp = 

  DualScaledParameter with properties:

             CalibrationValue: 212
               CalibrationMin: []
               CalibrationMax: []
      CalToMainCompuNumerator: [1 -32]
    CalToMainCompuDenominator: 1.8000
              CalibrationName: ''
          CalibrationDocUnits: ''
         IsConfigurationValid: 1
            DiagnosticMessage: ''
                        Value: 100
                    CoderInfo: [1x1 Simulink.CoderInfo]
                  Description: ''
                     DataType: 'auto'
                          Min: []
                          Max: []
                         Unit: ''
                   Complexity: 'real'
                   Dimensions: [1 1]

Simulink.DualScaledParameter では、Simulink で使用する値を表す Temp.Value が計算されます。Temp.CalibrationValue212 (華氏の度数) であるため、Temp.Value100 (摂氏の度数) となります。

値に名前を付け、単位を指定します。

Temp.CalibrationName = 'TempF';
Temp.CalibrationDocUnits = 'Fahrenheit';

キャリブレーション最小値と最大値を設定します。

Temp.CalibrationMin = 0;
Temp.CalibrationMax = 300;

この許容範囲外のキャリブレーション値を指定すると、Simulink で警告が生成されます。

Simulink で使用する単位を指定します。

Temp.Unit = 'degC';

[Simulink.DualScaledParameter] ダイアログ ボックスを開きます。

open Temp

[キャリブレーション属性] タブには、指定したキャリブレーション値と計算方法が表示されます。

ダイアログ ボックスで、[メイン属性] タブをクリックします。

このタブには、Simulink で使用される値に関する情報が表示されます。

拡張機能

固定小数点の変換
Fixed-Point Designer™ を使用して固定小数点システムの設計とシミュレーションを行います。

バージョン履歴

R2013b で導入