可変伝達遅延の現象をもつシステムのシミュレーション
この例では、Simulink® を使用して可変伝達遅延の現象をモデル化する方法について、2 つの事例を示します。
1 次元の自動車の車輪の垂直変位
図 1: 速度 v(t) の自動車の図
自動車が速度 v(t) で道路を走行しています。路面凹凸による前輪の垂直変位 Hi(t) を測定するため、前輪にセンサーが搭載されています。車輪と路面が常に接触している場合、後輪の垂直変位 Ho(t) は、車輪間の長さ L と速度 v(t) によって決定される Hi(t) の可変伝達遅延と見なすことができます。
図 2: 車輪の垂直変位
固定長パイプを通る圧縮不可能な流れ
図 3: 固定長パイプの図
圧縮不可能な流れが、長さ L のパイプを速度 v(t) で通ります。入り口での流れの温度は Ti です。出口での温度は、Ti の可変伝達遅延としてモデル化できます。時間 t=0 ではパイプは空であり、t=2 までは出口に流れが来ていません。そこで、t=2 よりも前の出力温度が初期出力温度となります。
図 4: 固定長パイプを通る圧縮不可能な流れ