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AR モデルと ARMA モデルの推定

AR モデルと ARMA モデルは、測定された入力をもたない自己回帰パラメトリック モデルです。これらのモデルは時系列データで動作します。

  • AR モデルには測定された出力で動作する単一の多項式 A が含まれています。単出力信号 y(t) の場合、AR モデルは次の方程式で求められます。

    A(q)y(t)=e(t)

  • ARMA モデルは、ノイズの誤差の移動平均を計算する 2 番目の多項式 C を追加します。単出力の時系列に対する ARMA モデルは次の方程式で求められます。

    A(q)y(t)=C(q)e(t)

    ARMA 構造体は C(q) = 1 で AR 構造体に縮小します。

AR モデル構造体と ARMA モデル構造体は、より一般的な ARX モデル構造体と ARMAX モデル構造体の特殊ケースであり、測定した入力を提供します。AR モデルと ARMA モデルはコマンド ラインおよびアプリで推定できます。

以下の詳細を参照してください。

コマンド ラインでの AR モデルと ARMA モデルの推定

ararxivar、または armax を出力測定のみが含まれる推定データとともに使用して、コマンド ラインで AR モデルと ARMA モデルを推定します。これらの関数は、idpoly モデル オブジェクトで表される推定モデルを返します。

多項式の AR 時系列モデルと ARMA 時系列モデルを推定するために選択されたコマンド

関数説明
ar

線形、離散時間、単出力の AR モデルを推定する非反復の最小二乗法。ラティスベースのアプローチとユール・ウォーカー共分散のアプローチを含むアルゴリズム オプションを提供します。

例: sys = ar(y,na) は、スカラー時系列 y から多項式の次数 na の AR モデル sys を推定します。

arx

線形 AR モデルを推定する非反復の最小二乗法。複数の出力をサポートします。ホワイト ノイズを仮定します。

例: sys = arx(y,na) は多出力の時系列 y から AR モデルを推定します。

ivar

単出力 AR モデルを推定する非反復の操作変数法。ノイズの色に影響されません。

例: sys = ivar(y,na) は、スカラー時系列 y に対する操作変数法を使用して AR モデルを推定します。

armax

線形 ARMA モデルを推定する反復予測誤差法。

例: sys = armax(y,[na nc]) は、時系列 y から多項式の次数 nanc の ARMA モデルを推定します。

使用方法および例や、これらの関数で推定できるその他のモデル情報の詳細については、ararxivar、および armax を参照してください。

アプリでの AR 時系列モデルと ARMA 時系列モデルの推定

はじめる前に、以下の手順を実行します。

以下の手順に従って、System Identification アプリを使用して AR モデルと ARMA モデルを推定します。

  1. System Identification アプリで、[Estimate][Polynomial Models] を選択し、[Polynomial Models] ダイアログ ボックスを開きます。

  2. [Structure] リストで、以下のオプションから推定する多項式モデル構造体を選択します。

    • AR:[na]

    • ARMA:[na nc]

    このアクションにより、このモデル構造体に対応するように [Polynomial Models] ダイアログ ボックスでオプションが更新されます。

  3. [Orders] フィールドで、モデル次数を指定します。

    • 単出力モデルの場合、[Structure] フィールドに表示されるシーケンスに基づいてモデル次数を入力します。

    • 多出力 ARX モデルの場合、Polynomial Sizes and Orders of Multi-Output Polynomial Modelsで説明するように、モデル次数を直接入力します。または、MATLAB ワークスペース ブラウザーにある、NyNy 列でモデル次数が格納される行列 NA の名前を入力します。

    [Order Editor] ダイアログ ボックスを使用してモデル次数と遅延を入力するには、[Order Editor] をクリックします。

  4. (AR モデルのみ) 推定方法を [Method][ARX] または [IV] (操作変数法) として選択します。これらの手法の詳細については、Polynomial Model Estimation Algorithmsを参照してください。

  5. ノイズ源 e(t) に積分を含める場合は、[Add noise integration] を選択します。この選択により、AR モデルが ARI モデル (Ay=e1q1) に変更され、ARMA モデルが ARIMA モデル (Ay=C1q1e(t)) に変更されます。

  6. [Name] フィールドでモデルの名前を編集するか、既定値を保持します。モデルの名前はモデル ボードで一意でなければなりません。

  7. [Initial state] リストで、アルゴリズムでの初期状態の処理方法を指定します。使用可能なオプションの詳細については、Specifying Initial States for Iterative Estimation Algorithmsを参照してください。

    不正確な適合を取得した場合は、自動選択を指定するのではなく、初期状態を処理する特定の手法の設定を試してください。

  8. アルゴリズムでパラメーターの不確かさを計算する場合は、[Covariance] リストで、[Estimate] を選択します。このような不確かさの影響はモデルの信頼領域としてプロットに表示されます。

    アルゴリズムで不確かさを推定しない場合は、[None] を選択します。不確かさの計算をスキップすると、複雑なモデルや大きなデータセットの計算時間を短縮できます。

  9. [Regularization] をクリックして、モデル パラメーターの正則化推定を取得します。[Regularization Options] ダイアログ ボックスに正則化定数を指定します。詳細については、Regularized Estimates of Model Parametersを参照してください。

  10. 推定の進行状況をコマンド ラインで確認するには、[Display progress] チェック ボックスをオンにします。推定中は、反復ごとに以下の情報が表示されます。

    • 損失関数 — 入力ノイズの推定される共分散行列の行列式。

    • パラメーター値 — 指定したモデル構造の係数の値。

    • 探索方向 — 前の反復からのパラメーター値の変更。

    • 適合の改善 — 適合で期待される改善に対する実際の改善。

  11. [Estimate] をクリックして、このモデルを System Identification アプリのモデル ボードに追加します。

  12. 予測誤差法の場合にのみ、現在の反復終了後に検索を停止して結果を保存するには、[Stop Iterations] をクリックします。現在のモデルから反復を続行するには、[Continue iter] ボタンをクリックして現在のパラメーター値を次の検索の初期推定値として割り当て、新規検索を開始します。多出力ケースでは、出力ごとに個別に反復を停止できます。ソフトウェアは出力ごとに独立した検索を実行することに注意してください。

  13. モデルをプロットするには、System Identification アプリの [Model Views] 領域で適切なチェック ボックスをオンにします。

System Identification アプリで [To Workspace] の四角形にモデルをドラッグし、モデルを MATLAB ワークスペースにエクスポートしてさらに解析できます。

参考

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