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モデル表示のカスタマイズ

伝達関数表示変数の設定

この例では、伝達関数 (tf) モデルの MATLAB® コマンド ウィンドウでの表示を設定する方法を示します。

同じ手順を使用して、因数分解した形式 (zpk モデル) の伝達関数モデルの表示変数を設定できます。

既定では、tf および zpk モデルは、連続時間の s と離散時間の z によって表示されます。Variable プロパティを使用して、表示変数を 'p' ('s' と同等)、'q' ('z' と同等)、'z^-1'、または 'q^-1' に変更します。

  1. 離散時間伝達関数 H(z)=z1z23z+2 を作成します。

    サンプル時間は 1 秒です。

     H = tf([1 -1],[1 -3 2],0.1)
    H =
     
          z - 1
      -------------
      z^2 - 3 z + 2
     
    Sample time: 0.1 seconds
    Discrete-time transfer function.
    

    既定の表示変数は z です。

  2. 表示変数を q^-1 に変更します。

    H.Variable = 'q^-1'
    H =
     
          q^-1 - q^-2
      -------------------
      1 - 3 q^-1 + 2 q^-2
     
    Sample time: 0.1 seconds
    Discrete-time transfer function.
    

    Variable プロパティを変更すると、ソフトウェアは新しい係数を計算し、新しい変数によって伝達関数を表示します。num プロパティと den プロパティは新しい係数で自動更新されます。

ヒント

または、'q^-1' によって表記された同一の伝達関数を直接作成します。

H = tf([0 1 -1],[1 -3 2],0.1,'Variable','q^-1');

逆変数 'z^-1' および 'q^-1' に対して、tf'z^-1' または 'q^-1' の昇べきの順の係数として分子と分母の配列を解釈します。

因数分解した形式の伝達関数の表示形式の設定

この例では、因数分解した形式 (zpk モデル) の伝達関数モデルの表示を設定する方法を示します。

因数分解した分子と分母の多項式の表示を強調表示するように設定できます。

  • 分子と分母の根

  • 各根の固有振動数と減衰比

  • 各根の時定数と減衰比

これらの数量の詳細は、zpk のリファレンス ページの DisplayFormat プロパティを参照してください。

  1. s = 5 で零点、s = –10 で極、s = –3 ± 5i で複素共役極ペアをもつ zpk モデルを作成します。

    H = zpk(5,[-10,-3-5*i,-3+5*i],10)
    H =
     
             10 (s-5)
      ----------------------
      (s+10) (s^2 + 6s + 34)
     
    Continuous-time zero/pole/gain model.
    

    既定の表示形式 'roots' は、分子と分母の多項式の標準的な因数分解を表示します。

  2. 各多項式の根の固有振動数を表示するように表示形式を設定します。

     H.DisplayFormat = 'frequency'
    H =
     
                   -0.14706 (1-s/5)
      -------------------------------------------
      (1+s/10) (1 + 1.029(s/5.831) + (s/5.831)^2)
     
    Continuous-time zero/pole/gain model.
    

    以下の表示から、極と 0 ごとに固有振動数と減衰比を読み取ることができます。

    • 実根に対応する係数は (1 – s/ω0) として表示されます。変数 ω0 は根の固有振動数です。たとえば、H の 0 の固有振動数は 5 です。

    • 複素共役根ペアに対応する係数は 1 – 2ζ(s/ω0) + (s/ω0)2 として表示されます。変数 ω0 は根の固有振動数、ζ は根の減衰比です。たとえば、複素共役極ペアの固有振動数は 5.831、減衰比は 1.029/2 です。

  3. 各極と 0 の時定数を表示するように表示形式を設定します。

    H.DisplayFormat = 'time constant'
    H =
     
                   -0.14706 (1-0.2s)
      -------------------------------------------
      (1+0.1s) (1 + 1.029(0.1715s) + (0.1715s)^2)
     
    Continuous-time zero/pole/gain model.
    

    以下の表示から、時定数と減衰比を読み取ることができます。

    • 実根に対応する係数は (τs) として表示されます。変数 τ は根の時定数です。たとえば、H の 0 の時定数は 0.2 です。

    • 複素共役根ペアに対応する係数は 1 – 2ζ(τs) + (τs)2 として表示されます。変数 τ は根の時定数、ζ は根の減衰比です。たとえば、複素共役極ペアの時定数は 0.1715、減衰比は 1.029/2 です。

参考

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