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Memoryless Nonlinearity

複素ベースバンド信号への無記憶非線形性の適用

ライブラリ

RF 損失

説明

Memoryless Nonlinearity ブロックは、複素ベースバンド信号に無記憶非線形性を適用します。このブロックを使用すると、受信側の信号に対する無線周波数 (RF) 障害のモデルを構成できます。

このブロックは列ベクトルの入力信号を受け入れます。

    メモ:   すべての電力値は公称インピーダンス 1 オームを想定しています。

Memoryless Nonlinearity ブロックは、[Method] パラメーターで指定できる 5 種類の非線形性モデルを提供します。[Method] パラメーターのオプションは次のとおりです。

  • Cubic polynomial

  • Hyperbolic tangent

  • Saleh model

  • Ghorbani model

  • Rapp model

ブロックは、ブロック マスクの下にあるサブシステムを使用して、これら 5 つのメソッドを実装します。最初の 4 つのメソッドでは、非線形性サブシステムは、次の図に示す共通の基本構造をもっています。

非線形性サブシステム

最初の 4 つのメソッドでは、各サブシステムは、入力信号に対して非線形性を次のように適用します。

  1. 信号にゲイン係数の値を乗算します。

  2. 複素信号を振幅と角度のコンポーネントに分解します。

  3. 選択された [Method] に応じて AM/AM 変換を信号の振幅に適用し、出力信号の振幅を生成します。

  4. 選択された [Method] に応じて AM/PM 変換を信号の位相に適用し、信号の角度にこの結果を追加して、出力信号の角度を生成します。

  5. 新しい振幅と角度のコンポーネントを 1 つの複素信号に結合して、その結果を [Linear gain] パラメーターで制御されるゲイン係数で乗算します。

各サブシステムは、AM/AM 変換と AM/PM 変換を、指定されたメソッドに応じてそれぞれ個別に実装しています。Rapp モデルは、入力信号に対して位相の変更を適用しません。Rapp モデルの非線形性サブシステムは、次の構造をもちます。

Rapp モデルの非線形性サブシステム

Rapp サブシステムは、非線形性を次のように適用します。

  1. 信号にゲイン ファクターの値を乗算します。

  2. 複素信号を振幅と角度のコンポーネントに分解します。

  3. 選択された [Method] に応じて AM/AM 変換を信号の振幅に適用し、出力信号の振幅を生成します。

  4. 新しい振幅と角度のコンポーネントを 1 つの複素信号に結合して、その結果を [Linear gain] パラメーターで制御されるゲイン ファクターで乗算します。

Memoryless Nonlinearity ブロックの各メソッドで用いられる変換の具体的な実装法の詳細については、これらの変換を実装する AM/AM と AM/PM サブシステムを確認してください。

  1. Memoryless Nonlinearity ブロックを右クリックして、[マスク][マスク内を表示] を選択します。マスクの下にブロックの構成が表示されます。このブロックには、5 つの非線形性メソッドに対応して 5 つのサブシステムが用意されています。

  2. 表示させたいメソッドのサブシステムをダブルクリックします。これにより、先に図示した「非線形性サブシステム」のサブシステムが表示されます。

  3. AM/AM または AM/PM とラベル付けされたサブシステムの 1 つをダブルクリックし、ブロックによる変換の実装法を確認します。

3 次多項式メソッドおよび双曲線正接メソッドの AM/PM 特性

次の図は、[Cubic polynomial][Hyperbolic tangent] メソッドにおける AM/PM の挙動を説明しています。

AM/PM 変換は、入力パワー値を、入力パワー レベルの下限と上限 ( [Lower input power limit for AM/PM conversion (dBm)][Upper input power limit for AM/PM conversion (dBm)] で指定) の間で、線形にスケーリングします。この範囲外の値に対する AM/PM 変換の結果は、入力の下限と上限に応じた定数値となり、それぞれゼロおよび です。

Saleh メソッドの AM/AM 特性および AM/PM 特性

次の図は、Saleh メソッドで、以下をプロットしたものです。

  • AM/AM 変換における出力電圧と入力電圧の関係

  • AM/PM 変換における出力位相と入力電圧の関係

16 配列 QAM の使用例

16 配列直交振幅変調 (QAM) された信号に対して Memoryless Nonlinearity ブロックが及ぼす効果は、散布図で確認できます。次の図は、Memoryless Nonlinearity ブロックの影響が及んでいない状態における、16 配列 QAM のコンスタレーションです。

次の図は、同じ信号に対して、[Method][Saleh Mode] に設定した Memoryless Nonlinearity ブロックを通過させた後の状態の散布図です。

このプロットは、Rectangular QAM Modulator Baseband ブロック用に設定された次のパラメーターで「信号を歪める RF 損失の表示」で説明されるモデルによって生成されます。

  • [Average Power] に設定された [Normalization method]

  • [Average power (watts)]1e-2 に設定

以下の節では、Saleh、Ghorbani、および Rapp モデルに固有なパラメーターについて解説します。

Saleh モデルのパラメーター

[Input scaling (dB)] パラメーターは、非線形性の適用前に、入力信号をスケーリングします。ブロックは、デシベルから線形単位に変換したパラメーター値を入力信号に乗算します。このパラメーターに入力信号の振幅の逆数を指定すると、スケーリングされた信号の振幅は 1 に正規化されます。

AM/AM パラメーターの alpha と beta は、次の関数による入力信号の振幅ゲインの計算に用いられます。

ここで u は、スケーリングされた信号の振幅です。

AM/PM パラメーターのアルファとベータは、次の関数による入力信号の位相の変更の計算に用いられます。

ここで u は、スケーリングされた信号の振幅です。AM/AM と AM/PM 変換で、alpha と beta という名前が同様に使われていますが、これらは異なるものであることに注意してください。

[Output scaling (dB)] パラメーターも同様に、出力信号をスケーリングします。

Ghorbani モデルのパラメーター

[Input scaling (dB)] パラメーターは、非線形性の適用前に、入力信号をスケーリングします。ブロックは、デシベルから線形単位に変換したパラメーター値を入力信号に乗算します。このパラメーターに入力信号の振幅の逆数を指定すると、スケーリングされた信号の振幅は 1 に正規化されます。

AM/AM パラメーター [x1 x2 x3 x4] は、次の関数による入力信号の振幅ゲインの計算に用いられます。

ここで u は、スケーリングされた信号の振幅です。

AM/PM パラメーター [y1 y2 y3 y4] は、次の関数による入力信号の位相の変更の計算に用いられます。

ここで u は、スケーリングされた信号の振幅です。

[Output scaling (dB)] パラメーターも同様に、出力信号をスケーリングします。

Rapp モデルのパラメーター

[Linear gain (dB)] パラメーターは、非線形性の適用前に、入力信号をスケーリングします。ブロックは、デシベルから線形単位に変換したパラメーター値を入力信号に乗算します。このパラメーターに入力信号の振幅の逆数を指定すると、スケーリングされた信号の振幅は 1 に正規化されます。

[Smoothness factor][Output saturation level] パラメーターは、入力信号の振幅ゲインの計算に用いられます。

ここで u はスケーリングされた信号の振幅、S[Smoothness factor]、および Osat[Output saturation level] です。

Rapp モデルは、入力信号に対して位相の変更を適用しません。

[Output saturation level] パラメーターは、出力信号レベルの範囲を定めます。

ダイアログ ボックス

Method

非線形性のメソッドです。

次に、各メソッドに固有のパラメーターを解説します。

Linear gain (db)

出力関数の線形ゲインを指定するスカラーです。

IIP3 (dBm)

3 次切片を指定するスカラーです。

AM/PM conversion (degrees per dB)

デシベルあたりの AM/PM 変換 (度単位) を指定するスカラーです。

Lower input power limit (dBm)

AM/PM 変換による入力パワー値の線形スケール化を行う、最小の入力パワーを指定するスカラーです。この値より小さい場合は、AM/PM 変換による位相シフトはゼロとされます。

Upper input power limit (dBm)

AM/PM 変換による入力パワー値の線形スケール化を行う、最大の入力パワーを指定するスカラーです。この値より大きい場合は、AM/PM 変換による位相シフトは定数値にされます。この最大シフト値は次の式で与えられます。

Linear gain (db)

出力関数の線形ゲインを指定するスカラーです。

IIP3 (dBm)

3 次切片を指定するスカラーです。

AM/PM conversion (degrees per dB)

デシベルあたりの AM/PM 変換 (度単位) を指定するスカラーです。

Lower input power limit (dBm)

AM/PM 変換による入力パワー値の線形スケール化を行う、最小の入力パワーを指定するスカラーです。この値より小さい場合は、AM/PM 変換による位相シフトはゼロとされます。

Upper input power limit (dBm)

AM/PM 変換による入力パワー値の線形スケール化を行う、最大の入力パワーを指定するスカラーです。この値より大きい場合は、AM/PM 変換による位相シフトは定数値にされます。この最大シフト値は次の式で与えられます。

Input scaling (dB)

入力信号レベルをスケーリングする数値です。

AM/AM parameters [alpha beta]

AM/AM パラメーターを指定するベクトルです。

AM/PM parameters [alpha beta]

AM/PM パラメーターを指定するベクトルです。

Output scaling (dB)

出力信号レベルをスケールする数値です。

Input scaling (dB)

入力信号レベルをスケーリングする数値です。

AM/AM parameters [x1 x2 x3 x4]

AM/AM パラメーターを指定するベクトルです。

AM/PM parameters [y1 y2 y3 y4]

AM/PM パラメーターを指定するベクトルです。

Output scaling (dB)

出力信号レベルをスケールする数値です。

Linear gain (db)

出力関数の線形ゲインを指定するスカラーです。

Smoothness factor

平滑度係数を指定するスカラーです。

Output saturation level

出力の飽和レベルを指定するスカラーです。

参照

[1] Saleh, A.A.M., "Frequency-independent and frequency-dependent nonlinear models of TWT amplifiers," IEEE Trans. Communications, vol. COM-29, pp.1715-1720, November 1981.

[2] A. Ghorbani, and M. Sheikhan, "The effect of Solid State Power Amplifiers (SSPAs) Nonlinearities on MPSK and M-QAM Signal Transmission", Sixth Int'l Conference on Digital Processing of Signals in Comm., 1991, pp. 193-197.

[3] C. Rapp, "Effects of HPA-Nonlinearity on a 4-DPSK/OFDM-Signal for a Digitial Sound Broadcasting System", in Proceedings of the Second European Conference on Satellite Communications, Liege, Belgium, Oct. 22-24, 1991, pp. 179-184.

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