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送信ダイバーシチを使用した LTE ダウンリンク PDSCH

この例では、送信ダイバーシチを使用した LTE ダウンリンク PDSCH の処理を取り上げています。LTE 規格 Release 10 [ 1 ] に基づいて、2 つの送信アンテナ構成と 4 つの送信アンテナ構成の両方について説明します。送信ダイバーシチは、送信器にアンテナを複数使用し、データ転送速度に影響を与えずにダイバーシチ ゲインを取得します。つまり、LTE により指定された両手法はフル レート コードで、単一のアンテナ伝送と比較すると、ダイバーシティによってパフォーマンスの向上というメリットが得られます。

この例で注目される主要コンポーネントは次のものです。

  • 可変サイズのペイロード生成

  • ビットレベルでのスクランブル

  • データ変調 (QPSK、16QAM または 64QAM)

  • SFBC エンコードを使用した 2 または 4 アンテナのレイヤー マッピング

  • リソース要素のマッピング

  • OFDM 信号の生成

  • MIMO フェージング チャネル

また、この例では、以下を使用する受信機をモデル化します。

  • 内挿による最小二乗チャネル推定。代わりに、MIMO フェージング チャネルのチャネル ゲインに基づいた理想的チャネル推定を、オプションとしてリンクに対し設定することもできます。

  • チャネル推定を使用した SFBC ベースの連結

  • 軟判定復調およびデスクランブル

この例には以下が含まれます。

キーワード: LTE、PDSCH、MIMO-OFDM、送信ダイバーシチ、SFBC、FSTD

% Open the LTE Transmit Diversity Example GUI
h = LTETransmitDiversityExample;

MATLAB GUI では、以下のパラメーターを指定して、リンクが設定可能です。

  • Channel bandwidth - 1.4、3、5、10、15 または 20 MHz のいずれかの値

  • Control region size - サブフレーム内の OFDM シンボルの数以内

  • Number of transmit antennas - 2 または 4 アンテナ

  • Number of receive antennas - 1、2 または 4 アンテナ

  • PDSCH modulation type - QPSK、16QAM または 64QAM (データ用)

  • MIMO Rayleigh fading channel - ユーザー定義チャネルまたは周波数フラットな静的チャネル

  • Maximum Doppler shift (Hz) - ユーザー定義のチャネルの場合、最大ドップラー シフト (Hz) を表しているスカラー値

  • Path delay vector (Ts) - ユーザー定義のチャネルの場合、チャネルのサンプル時間の倍数単位でパスの遅延を指定する整数のベクトル。このパラメーターの長さは、フェージング チャネルをモデル化したマルチパスの数を表しています。

  • Average path gain vector (dB) - ユーザー定義のチャネルの場合、パス ゲイン値 (dB) のベクトル。このパラメーターの長さは、パスの遅延パラメーターの長さと同じでなければなりません。

  • Correlation level - ユーザー定義のチャネルの場合、LTE 規格 [ 3 ] のセクション B.2.3 に準じ、Low、Medium または High。周波数フラットな静的チャネルは、単一パスで、最大ドップラー シフトのない無相関のリンクを使用します。

  • SNR (dB) - リンクの SNR レベルを表すスカラー値

  • Enable channel estimation チェック ボックス。チェック ボックスをオフにした場合は、リンクでは MIMO フェージング チャネルのチャネル パス ゲインに基づいた理想的なチャネル推定が使用されます。オンにした場合は、サブフレームと内挿のノイズを周波数軸に沿って平均化した結果から導かれる最小二乗推定が使用されます。

  • Number of subframes to simulate - 1 つのサブフレーム データ相当の 1 ms ステップで測定される、シミュレーションの長さを指定するスカラー

  • Enable constellation diagrams チェック ボックス。オンになっている場合は、受信機処理チェーン内の信号に対してコンスタレーション プロットが表示されます。

  • Enable spectrum analyzer チェック ボックス。オンになっている場合は、送信信号と受信信号のスペクトルが表示されます。スペクトルの表示は、サブフレーム内の最後の OFDM シンボルに対応しています。

[Simulate link] ボタンは構成されたリンクをシミュレートし、その GUI はリンクの BER 結果を表示します。MATLAB コマンド ウィンドウにもシミュレーションの進捗が表示されます。

[View MATLAB code] ボタンは、エディターでシミュレーターのコードを開きます。これによって、視覚的な検証と、シミュレーションで使用される基礎関数についてより詳しく検証することができます。

送信ダイバーシティ シミュレーターでは仕様の周波数分割デュプレックス (FDD) モードについて取り上げます。これには、10 個のサブフレームからなる 10ms の無線フレームを使用します。持続時間が 1ms の各サブフレームは 2 つの連続するスロットをもちます。

このスクリプトは、1 回のループの反復でサブフレーム 1 つ分のデータを処理します。

基地局 (eNodeB) におけるダウンリンク共有チャネル処理にはトランスポート チャネル処理と物理チャネル処理 (PDSCH) が含まれ、受信機 (UE) では、対応する二重性により送信されたデータ ビットを取得します。次のサブセクションでは、モデル化した PDSCH の処理について、LTE 規格の関連する節 [ 1-4 ] を参照しながら簡単に説明します。この例では、シミュレーターでのトランスポート チャネル処理は省略し、PDSCH への入力は、トランスポート チャネル処理からのエンコードされたビットであることを前提にしています。

物理チャネル (PDSCH) 処理

物理チャネルは、特定のトランスポート チャネルの伝送に使用される一連の時間周波数リソースに対応します。物理ダウンリンク共有チャネル (PDSCH) は、ユニキャスト データ伝送で主に使用される物理チャネルです。この例では、2 または 4 のアンテナを経由する、単一符号語の送信ダイバーシチ伝送を使用します。結果として、ダウンリンク物理チャネル処理には、以下が含まれます。

スクランブル

ソース データ ビット (トランスポート チャネルのエンコード ビット) は、ビットレベルのスクランブル シーケンスでスクランブルされます (LTE 規格の 7.2 および 6.3.1 節 [1])。スクランブル シーケンスは、セル間の干渉ランダム化を確実にするため、物理層セル ID に依存します。単一ユーザーの単一セル ダウンリンク伝送について、この例では 1 つのセル ID が想定されています。

データ変調

ダウンリンク データ変調はスクランブルされたビットを複素変調シンボルに変換します。サポートされている一連の変調方式には QPSK、16QAM および 64QAM があります。これらはそれぞれ、変調シンボルの 2、4 および 6 ビットに対応します (LTE 規格の 7.1 および 6.3.2 節 [1])。MATLAB GUI で PDSCH modulation type パラメーターを使用して変調方式を選択します。

レイヤー マッピングおよび事前コーディング

関数 lteTDEncode.mlteTDEncode.m は、[ 1 ] の節 6.3.3.3 および 6.3.4.3 にあるように、送信ダイバーシチのレイヤー マッピングと事前コーディングを組み合わせます。この関数は、複雑な信号の表記を使用し、Communications System Toolbox から comm.OSTBCEncodercomm.OSTBCEncoder System object を使用して、LTE に基づいた空間周波数ブロック コーディングを実装します。2 および 4 アンテナ方式の場合、LTE 規格では、レート削減なしで空間および周波数領域に適用される、基本の Alamouti コード [ 6 ] を使用します。

リソース要素のマッピング

各アンテナで伝送される事前に符号化されたシンボルは、伝送に使用可能なリソース ブロックのリソース要素にマッピングされます。使用可能なリソース ブロックの数は、GUI にある Channel bandwidth パラメーターの関数で、次の表 (LTE 規格 [ 4 ] より転載) に基づいています。

選択された構成に対し、各リソース ブロックは、15 KHz 副搬送波間隔で総計 180 KHz のスペクトルとなる 12 の副搬送波に対応します。したがって、20 MHz チャネル帯域幅で、使用可能な 100 個のリソース ブロックが 18 MHz のチャネル帯域幅を占有します。

サブフレームごとにリソース要素にマッピングされるデータ シンボルの実際の数は、以下によって決まります。

  • チャネル推定に使用されるセル固有の基準 (CSR) 信号が利用するリソース要素

  • 制御信号領域 (PDCCH)

  • 1 次同期信号 (PSS) と 2 次同期信号 (SSS) が利用するリソース要素

  • ブロードキャスト チャネル (PBCH) の伝送で利用されるリソース要素

これらの信号の一部はすべてのサブフレームで伝送されるわけではないので、データ ペイロードのサイズは無線フレーム内のサブフレーム間で異なります。

セル固有の基準信号

LTE 基準信号において最も基本となる、セル固有の基準 (CSR) 信号は、セル内の 1、2 または 4 つのアンテナに対して指定され、受信機側のチャネル推定に使用されます。

この例では、次の図 (LTE 規格 [1] より転載) で示すように、2 つのアンテナと 4 つのアンテナに使用される、リソース ブロックごとの CSR 信号の構造をモデル化します。

ここで、アンテナの基準信号を搬送するリソース要素については、その他のアンテナの対応するリソース要素は null 伝送をもちます。これにより、他のアンテナ伝送からの干渉を受けずに CSR 信号が伝送されます。

また、1 番目と 2 番目のアンテナにおける基準シンボル密度に比べて、3 番目と 4 番目のアンテナの基準信号の基準シンボル密度が低いことにも注目してください。これは、大きい番号のアンテナのオーバーヘッドを減らし、急速なチャネル変動に対する追跡機能を制限する効果があります。

OFDM 伝送

各アンテナの複素数値時間領域 OFDM 信号は、データが完全に埋められたリソース グリッドから生成されます。FFT ポイントの数は、LTE 規格の表 F.5.3-1 [ 3 ] に示されるとおり、指定されたチャネル帯域幅によって決まります。標準サイクリック プレフィックスの場合、スロット内の 7 つの OFDM シンボルは異なるサイクリック プレフィックス長を使用します。

MIMO チャネル

シミュレーターは、comm.MIMOChannelcomm.MIMOChannel System object を使用して、複数のリンクを使用するレイリー フェージングをモデル化します。周波数フラットな静的な特性をもつものから、最大ドップラー シフト、パス ゲイン、パス遅延および相関レベルを個別に各リンクに指定できるものまで、選択することができます。パス遅延は、チャネル入力サンプル時間の整数倍に制限されています。

受信機 (UE) の処理

この例でモデル化する受信機の処理 (UE における) の主な要素は以下のとおりです。

OFDM 受信機 - スロット内の OFDM シンボルごとの等しくないサイクリック プレフィックス長を元に戻し、時間および周波数領域グリッド構造に変換し直します。

"チャネル推定" (選択した場合)。基準信号のノイズ除去のサブフレームでの平均とデータ要素の副搬送波での線形内挿を使用して最小二乗推定を行います。また、チャネル推定には CSR 信号を使用します。そのほかに、MIMO フェージング チャネルからチャネル ゲインを使用する、理想的なチャネル推定方式も提供されています。この理想的な方式は、実際のチャネル推定方式の性能評価の参照として使用できます。

複数の送信信号用 "送信ダイバーシチ合成" は、エンコーダーと同様、信号に複素表記を使用して Communications System Toolbox から comm.OSTBCCombinercomm.OSTBCCombiner System object を利用する、関数 lteTDCombine.mlteTDCombine.m に埋め込まれます。

組み合わされたデータ ストリームは、受信データ ビットを取得するために、さらに復調およびデスクランブルされます。

前提条件と簡略化

シミュレーションでは、以下の前提および簡略化が行われています。

  • 単一ユーザーのダウンリンク伝送 (NcellID = 0、RNTI = 1)

  • スロットごとに 7 つの OFDM シンボルを指定する標準サイクリック プレフィックス

  • ユーザーが選択したチャネル帯域幅に基づく全帯域幅のデータ割り当て

  • ユーザーが指定可能な、シミュレーション中の制御領域の一定サイズ

  • ローカライズされたリソースのみのマッピング

  • リソース グリッドの埋め込みは PDCCH、PBCH チャネルおよび PSS、SSS 信号に相当するが、個別の信号はモデル化しない。これにより、受信機のデータ シンボルの処理に影響を与えずにデータ スループット測定が可能になります。

  • RF コンポーネントのモデル化を行わないベースバンド処理のみ。

  • フェージング チャネルのマルチパス遅延は、入力チャネルサンプル時間の倍数のみ

  • シミュレーション実行中、可変サイズ データ ペイロードを以外の属性への適応は行わない

結果と表示

選択されたパラメーターについて、以下の表示で (有効になっている場合) シミュレーション中の処理を検証します。

  • スペクトル アナライザーは、送受信された信号スペクトルを表示します。サブフレームごとの両方のスペクトル プロットの比較によって、フェージング チャネルの全時間にわたる周波数選択性が強調表示されます。サブフレーム内の最後の OFDM シンボルのみが表示されることに注意してください。

  • 受信信号のコンスタレーション ダイアグラム - 送信ダイバーシチ合成の前後の信号の比較によって、リンク パフォーマンスと合成の利点への視覚的なヒントを与えます。

シミュレーションの最後に、最終的なビット誤り率 (BER) と、観察された誤り数の合計と処理されたビット数の合計が GUI と MATLAB コマンド ウィンドウの両方に表示されます。

% Suppress displays
handles = guidata(h);
set(handles.showSpectrum, 'Value', 0);
LTETransmitDiversityExample('showSpectrum_Callback', handles.showSpectrum, [], handles);
handles = guidata(h);
set(handles.showScopes, 'Value', 0);
LTETransmitDiversityExample('showScopes_Callback', handles.showScopes, [], handles);

% Simulate the default link
handles = guidata(h);
set(handles.simulate, 'Value', 1);
LTETransmitDiversityExample('simulate_Callback', handles.simulate, [], handles);
Simulating LTE Downlink PDSCH with Transmit Diversity
    Creating objects for simulation.
        Ideal channel gains will be used.
    Processing #1 subframe.
    Processing #2 subframe.
    Processing #3 subframe.
    Processing #4 subframe.
    Processing #5 subframe.
    Processing #6 subframe.
    Processing #7 subframe.
    Processing #8 subframe.
    Processing #9 subframe.
    Processing #10 subframe.
    Processing #11 subframe.
    Processing #12 subframe.
    Processing #13 subframe.
    Processing #14 subframe.
    Processing #15 subframe.
    Processing #16 subframe.
    Processing #17 subframe.
    Processing #18 subframe.
    Processing #19 subframe.
    Processing #20 subframe.
    Processing #21 subframe.
    Processing #22 subframe.
    Processing #23 subframe.
    Processing #24 subframe.
    Processing #25 subframe.
    Processing #26 subframe.
    Processing #27 subframe.
    Processing #28 subframe.
    Processing #29 subframe.
    Processing #30 subframe.
Elapsed time is 3.602492 seconds.
BER:              5.8571e-05
Number of errors: 46
Number of bits:   785376

その他の調査

シミュレーター スクリプト LTETransmitDiversitySim.mLTETransmitDiversitySim.m を使用して、別のリンク構成を独自に調査します。 以下のいずれかが含まれます。

  • 単一のアンテナ伝送

  • 別のチャネル推定方式

  • 完全なダウンリンク処理 (トランスポート チャネル処理を含む)

「空間多重化による LTE PHY ダウンリンク」では、同様の、空間多重化 LTEDownlinkSim.mLTEDownlinkSim.m を使用する MATLAB ベースの LTE 対応シミュレーターについて説明されています。

参考文献

  1. 3GPP Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Physical channels and Modulation (Release 10)", 3GPP TS 36.211 v10.0.0 (2010-12) http://www.3gpp.org/ftp/Specs/html-info/36-series.htm.

  2. 3GPP Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Physical layer procedures(Release 10)", 3GPP TS 36.213 v10.0.0 (2010-12).

  3. 3GPP Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); User Equipment(UE) radio transmission and reception (Release 10)", 3GPP TS 36.101 v10.0.0 (2010-10).

  4. 3GPP Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Base station radio transmission and reception (Release 10)", 3GPP TS 36.104 v10.0.0 (2010-09).

  5. E. Dahlman, S. Parkvall, and J. Skold, "4G LTE/LTE-Advanced for Mobile Broadband", Elsevier, 2011.

  6. S. M. Alamouti, "A simple transmit diversity technique for wireless communications," IEEE Journal on Selected Areas in Communications, vol. 16, no. 8, pp.1451-1458, Oct. 1998.

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