MATLAB プロジェクトの使用
この例では、既存のプロジェクトを使用して設計内のファイルを管理する方法を示します。起動タスクと終了タスクの自動化、一般的なタスクのショートカットの追加、チェックの実行、プロジェクト ファイルのアップグレード、プロジェクトの依存関係の解析、プロジェクトの共有が可能です。
設計が進むと、参照ファイルや依存関係の管理がさらに複雑になります。プロジェクトにより、必要なファイルの検索、ファイルと設定の管理と共有、ソース管理との対話によって、大規模な階層を整理できます。
このプロジェクト例はソース管理対象ではありません。その結果、共同環境に必要な重要なツールは、たとえば、ファイルの上位との比較、リビジョンの比較、競合の解決に使用できません。
Git™ や SVN など、MATLAB® で利用可能なソース管理の統合を使用する場合は、Git でのプロジェクトの使用またはSVN でのプロジェクトの使用を参照してください。
外部ソース管理をプロジェクトで使用するには、プロジェクト フォルダーを選択したソース管理下に置き、MATLAB® 比較ツールで比較とマージに使用するようにカスタマイズします。詳細については、比較とマージに MATLAB を使用するための外部ソース管理のカスタマイズを参照してください。
プロジェクト パスの管理
プロジェクトを開くと、起動ショートカットを適用する前に MATLAB によって MATLAB 検索パスにプロジェクト パスが追加されます。
プロジェクトを閉じるときに、終了ショートカットを適用した後で MATLAB によって MATLAB 検索パスからプロジェクト パスが削除されます。
プロジェクト パスに対してフォルダーを追加または削除するには、[プロジェクト] タブの [環境] セクションで [プロジェクトのパス] をクリックします。
プロジェクトのパスにフォルダーを追加するには、[フォルダーを追加] をクリックします。フォルダーとそのサブフォルダーを追加するには、代わりに [サブフォルダーも追加] をクリックします。次に、[開く] ダイアログ ボックスを使用して新しいフォルダーを追加します。
プロジェクトのパスからフォルダーを削除するには、表示されている一覧からそのフォルダーを選択します。次に、[削除] をクリックします。
依存関係アナライザーですべてのプロジェクト ファイルが確実に検出されるように、プロジェクト ファイルをプロジェクトのパスに追加する必要があります。
プロジェクトの詳細、起動フォルダー、派生ファイルのフォルダーの指定
[プロジェクト] タブの [環境] セクションで [詳細] をクリックします。[プロジェクトの詳細] ダイアログ ボックスを使用して以下を行います。
プロジェクト名の編集または説明の追加。
[プロジェクトのルート] フォルダーの表示。プロジェクト ルートは、ファイル システムのプロジェクト全体を移動してから新しい場所でプロジェクトを再度開くことで変更できます。すべてのプロジェクト ファイル パスは相対パスとして格納されます。
[起動] フォルダーの表示または編集。既定では、このフォルダーはプロジェクトのルートに設定されます。プロジェクトを開くと、現座の作業フォルダーがプロジェクトのルート フォルダーに変更されます。別の起動フォルダーを指定するか、[クリア] をクリックできます。
[シミュレーション キャッシュ フォルダー] および [コード生成フォルダー] の表示または編集。
新しいプロジェクトに対する既定のプロジェクトのルートを変更するには、MATLAB の [ホーム] タブの [環境] セクションで、[基本設定] をクリックします。[MATLAB]、[プロジェクト] を選択し、[既定のフォルダー] を指定します。
起動タスクと終了タスクの自動化
プロジェクトを開いたり閉じたりするときに実行、開く、または閉じる MATLAB スクリプトや Simulink® モデルなどのプロジェクト ファイルを設定できます。
プロジェクトの起動とシャットダウン時に実行する既存のファイルを設定するか、環境オプションを指定するには、[プロジェクト] タブで [起動とシャットダウン] ボタンをクリックします。[プロジェクトの起動とシャットダウンの管理] ダイアログ ボックスで次を行います。
起動ファイルとシャットダウン ファイルを追加または削除する。矢印ボタンを使用して実行順序を変更できます。
チェック ボックスを使用して環境オプションを指定する。[このプロジェクトを開始する前に Simulink を起動] を選択し、プロジェクトを開くときに Simulink を起動します。[Simulink カスタマイズの更新] を選択してプロジェクトの起動とシャットダウン時に
sl_customization
ファイルを実行します。
一般的なタスクのプロジェクトのショートカット
一般的なタスクのプロジェクトのショートカットを作成し、重要なファイルや操作を見つけてアクセスしやすくします。たとえば、最上位モデルを検索して開く、コードの実行、モデルのシミュレーションを行います。
[プロジェクト ショートカット] タブで、このサンプル プロジェクトには、最上位モデル、S-Function をリビルドするユーティリティ関数、設計の記述に関するドキュメントへのショートカットが用意されています。
ショートカット
F14 Model
をクリックして、このプロジェクトのルート モデルを開く。ショートカット
Rebuild Project's S-functions
をクリックして S-Function を生成する。[新規ショートカット] ボタンをクリックして、プロジェクト ファイルの新しいショートカットを作成する。
ショートカットを右クリックし、[ショートカットの編集] を選択してショートカットを編集する。
ファイル ビューの確認
[ファイル] ビューで [プロジェクト (ファイル数)] ビューを選択してプロジェクト内のファイルを管理します。このビューはプロジェクトの一部であるファイルのみを表示します。
[すべて] ビューを使用して作業コピーのすべてのファイルを表示します。このビューには、プロジェクト内のファイルだけでなく、プロジェクト ルートの下位にあるすべてのファイルが表示されます。このビューは、ファイルを作業コピーからプロジェクトに追加する場合に役立ちます。
任意の [ファイル] ビューの右上で、[ツリー] から [リスト] にレイアウトを変更し、ファイルをリストとして表示します。ビューをカスタマイズしたり、ファイルを並べ替えたりするには、[ビューの整理] ボタン をクリックします。
プロジェクトの依存関係の解析
依存関係アナライザーを使用して依存関係を視覚的に調査して、プロジェクトの構造を調べます。[プロジェクト] タブで、下矢印をクリックして [ツール] ギャラリーを展開します。[アプリ] で、[依存関係アナライザー] をクリックします。
依存関係アナライザーにより、右側のペインで結果がまとめられます。これには、使用された [製品] と [アドオン] の名前がリストされます。不足しているファイル、プロジェクトに存在しないファイル、未保存の変更および期限の切れた派生ファイルなどの問題が検出されます。この例では、アナライザーは File not in project
を特定し、警告サイン でタグ付けします。
問題のあるファイルを強調表示するには、[問題] セクションで問題メッセージにカーソルを合わせ、拡大鏡をクリックします。この例では、プロジェクトに timesthree.mexw64 file
が要求されていますが、含まれていません。timesthree.mexw64
を右クリックし、[プロジェクトに追加] または [警告を非表示] を選択します。依存関係の分析を次回実行するときに、アナライザーはこのファイルを問題としてマークしません。
選択したファイルで影響分析を実行します。
影響分析では、変更を行う前に、他のファイルに対する変更の影響を確認できます。たとえば、timesthree.mexw64
が正しく実行するために必要なファイルを検索するには、timesthree.mexw64
を右クリックして [必要なものを検索] を選択します。timesthree.mexw64
への変更内容がファイルにどのように影響するかを確認するには、timesthree.mexw64
を右クリックして [影響を受けるものを検索] を選択します。
チェックの実行とプロジェクト ファイルのアップグレード
プロジェクト内のすべてのモデル、ライブラリ、MATLAB コード ファイルを最新リリースに簡単にアップグレードできます。[プロジェクト] タブで、下矢印をクリックして [ツール] ギャラリーを展開します。[プロジェクト チェック] で [プロジェクトのアップグレード] をクリックします。
すべてのファイルをアップグレードし、すべてのチェックを実行して、可能な場合は修正を自動的に適用するには、[アップグレード] をクリックします。設定を変更するには、[アップグレード] をクリックする前に次のオプションを使用します。
アップグレードのチェックを実行しても、可能な修正を自動的に適用しないようにするには、[アップグレードを自動的に適用] チェック ボックスをオフにします。
アップグレードするファイルおよび実行するチェックを変更するには、[オプションの変更] をクリックします。[アップグレード オプション] ダイアログ ボックスで、アップグレードから除外するモデルおよびチェックのチェック ボックスをオフにします。
プロジェクトのアップグレード ツールは、可能な場合にすべての修正を自動的に適用し、プロジェクト内のすべてのモデル階層構造を同時にアップグレードしてレポートを生成します。
プロジェクトの共有
他のユーザーとプロジェクトを共有する前に、依存関係アナライザーを使用して必要なファイルや製品を検索します。
[プロジェクト] タブで、[共有] を選択してさまざまな共有オプションを調べます。
プロジェクトをアーカイブとして共有し、電子メールで送信します。[プロジェクト] タブで、[共有]、[アーカイブ] を選択します。
[エクスポート プロファイル] を使用してプロジェクト全体またはその一部のみをエクスポートします。プロジェクトからファイルを除外する場合は、依存関係アナライザーを使用して、ファイルの除外によるプロジェクトへの影響を調べます。
参照プロジェクトがある場合に参照プロジェクト ファイルをエクスポートするには、[参照プロジェクトを含める] チェック ボックスをオンにします。
GitHub® でプロジェクトを共有して公開することもできます。これにより Git ソース管理が公開プロジェクトに追加されます。