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荷重制約をもつ 2 つのシリンダーのモデル

この例では、2 つの油圧アクチュエータを相互に接続する、大きな質量を支える剛体棒をモデル化する方法を示します。ピストンの力が荷重に直接かかるため、バネは使用されません。これらの力は重力と釣り合うため、線形変位と回転変位の両方が発生します。

同じ基本コンポーネントを使用する 2 つの関連する例、4 つのシリンダーのモデルおよび 1 つのシリンダーのモデルを参照してください。

  • メモ: これは基本的な水力学の例です。Simscape™ Driveline™ と Simscape Fluids™ を使用して、水力学モデルや自動車のモデルをより簡単に作成できます。

  • Simscape Fluids は流体システムのモデル化とシミュレーションのためのコンポーネント ライブラリを提供します。これには、ポンプ、バルブ、アクチュエータ、パイプライン、熱交換器のモデルが含まれます。これらのコンポーネントを使用して、フロント ローダー、パワー ステアリング、着陸装置の作動システムといった流体電力システムを開発することができます。Simscape Fluids を使用すると、エンジン冷却システムおよび燃料供給システムも開発できます。Simscape 製品ファミリで利用可能なコンポーネントを使用して、機械システム、電気システム、熱システム、およびその他のシステムを統合することができます。

  • Simscape Driveline は 1 次元機械システムのモデル化とシミュレーションのためのコンポーネント ライブラリを提供します。これには、ウォーム ギア、遊星歯車、親ねじ、およびクラッチといった回転コンポーネントや並進コンポーネントのモデルが含まれます。これらのコンポーネントを使用すると、ヘリコプターのドライブトレイン、産業機械、車両のパワートレイン、およびその他のアプリケーションにおける機械入力の送信をモデル化できます。エンジン、タイヤ、トランスミッション、トルク コンバーターなどの車載コンポーネントも含まれます。

モデルの解析と物理現象

棒の回転角は小さいと仮定します。棒の運動の方程式は、以下の方程式ブロック 1 で与えられています。シリンダーとポンプの動作を説明する方程式は、1 つのシリンダーの例の場合と同じです。

方程式ブロック 1:

$$M \frac{d^2 z}{d t^2} = F_b + F_a + F_{ext} $$

$$I \frac{d^2 \theta}{d t^2} = \frac{L}{2}F_b - \frac{L}{2}F_a $$

$$ z - \mbox{ displacement at the center } $$

$$ M - \mbox{ total mass } $$

$$ F_a - \mbox{ piston A force } $$

$$ F_b - \mbox{ piston B force } $$

$$ F_{ext} - \mbox{ external force at center } $$

$$ \theta - \mbox{ clockwise angular displacement } $$

$$ I - \mbox{ moment of inertia of the rod } $$

$$ L - \mbox{ rod length } $$

個々のピストンの位置と速度は、形状から直接得られます。対応する方程式を、以下の方程式ブロック 2 で確認してください。

方程式ブロック 2:

$$ z_a = z - \theta \frac{L}{2} $$

$$ z_b = z + \theta \frac{L}{2} $$

$$ \frac{d z_a}{dt} = \frac{d z}{dt} - \frac{d \theta}{dt} \frac{L}{2} $$

$$ \frac{d z_b}{dt} = \frac{d z}{dt} + \frac{d \theta}{dt} \frac{L}{2} $$

$$ z_a - \mbox{ piston A displacement } $$

$$ z_b - \mbox{ piston B displacement } $$

モデルを開いてシミュレーションを実行

このモデルを開くには、MATLAB® コマンド ウィンドウに「sldemo_hydrod」と入力します (MATLAB ヘルプを使用している場合は、ハイパーリンクをクリックします)。シミュレーションを実行するには、[シミュレーション] タブで [実行] を押します。モデルは以下を実行します。

  • 信号データのログを MATLAB ワークスペースの Simulink.SimulationOutput オブジェクト out に記録します。信号のログ データは sldemo_hydrod_output という Simulink.SimulationData.Dataset オブジェクトの out 内に格納されます。

  • 連続状態データのログを MATLAB ワークスペースに記録します。状態データは、xout と呼ばれる構造体として out ワークスペース変数にも含まれます。ログ データを処理しやすくするために、各状態にモデル内で名前が割り当てられます。状態の名前は、xout.signalsstateName フィールドにあります。詳細については、記録されたシミュレーション データのデータ形式を参照してください。

  • カスタマイズ可能な Circular GaugeブロックとVertical Gaugeブロックを使用して、シリンダー内の流体の流れ、圧力、および線形変位を可視化します。

図 1: 2 つのシリンダーのモデルとシミュレーション結果

Mechanical Load サブシステム

このサブシステムを図 2 に示します。このサブシステムでは、標準 Simulink ブロックを使用して直接計算する運動の方程式が解かれます。回転角は小さいと仮定されています。Mechanical Load サブシステムのマスクの中を調べ、その構造を確認します (このサブシステムを右クリックし、[マスク][マスク内を表示] を選択)。

図 2: Mechanical Load サブシステム

シミュレーション パラメーター

このシミュレーションで使用されるパラメーターは、以下を除き、1 つのシリンダーのモデルで使用されるものと同じです。

L     = 1.5 m
M     = 2500 kg
I     = 100 kg/m^2
Qmax = 0.005 m^3/sec (constant)
C2    = 3e-9 m^3/sec/Pa
Fext  = -9.81*M Newtons

ポンプ流量は一定ですが、バルブは個別に制御されます。最初に、t = 0 ではバルブ B の断面積はゼロです。線形に増加して t = 0.01 sec では 1.2e-5 m^2 に近づきますが、その後は線形に減少し、t = 0.02 sec でゼロになります。バルブ A の断面積は t = 0 では 1.2e-5 sq.m. ですが、線形に減少し、t = 0.01 sec ではゼロになりますが、その後線形に増加し、t = 0.02 sec では 1.2e-5 sq.m. になります。その後、バルブ A および B の動作は、同じパターンで周期的に繰り返されます。つまり、バルブ A とバルブ B は位相が 180°ずれています。

結果

図 3 および 4 は、棒の線形変位と角変位を示しています。線形変位応答は、タイプ 1 の積分系に典型的にみられます。棒の相対位置と角運動は、位相のずれた制御信号 (バルブ A および B の断面積) に対する 2 つのピストンの応答を示しています。

図 3: ピストンの線形変位と荷重 (荷重は棒の中央にかかっている)

図 4: 棒の角変位

モデルを閉じる

モデルを閉じ、生成されたデータをすべて消去します。

まとめ

Simulink は、油圧システムのシミュレートに生産的な環境を提供し、モデル化において優れた生産性と多くの数値的手法に柔軟性をもたらすための機能強化を実現します。マスク サブシステムとモデル ライブラリを使用にすると、自動コンポーネント更新により、構造化されたモデルが容易になります。ユーザーがライブラリの要素を変更すると、その要素が使用されるモデルには、新しいバージョンが自動的に組み込まれます。Simulink では微分代数方程式 (DAE) を使用して、ある流体要素を圧縮不可能なものとして、また別の流体要素を順応型としてモデル化でき、相互依存回路の複雑なシステムに効率的な解決策を提供します。

このようなモデルは、究極的にはプラント システムまたは自動車システムの一部として使用できます。Simulink は階層構造をもつため、大きなシステム モデル内に配置する油圧アクチュエータを、必要に応じて、独立して開発することができます (たとえば、センサーやバルブの形で制御を追加)。このような場合 Control System Toolbox™ の各種ツールを使用して、閉ループ システム全体を解析し、調整できます。MATLAB/Simulink 環境はこのように、設計、解析、モデル化 サイクル全体をサポートする力をもっています。

参考

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