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NetCDF ファイルと OPeNDAP データのインポート
いくつかの方法で netCDF ファイルからデータを読み取ることができます。プログラムによって行う場合は、MATLAB® の高水準の netCDF 関数、または低水準関数の netCDF ライブラリ パッケージを使用できます。対話的に行う場合は、[データのインポート] ライブ エディター タスクまたはインポート ツール アプリ (MATLAB Online™ 内) を使用できます。
MATLAB NetCDF 機能
Network Common Data Form (NetCDF) は一連のソフトウェア ライブラリとハードウェア非依存型のデータ形式であり、配列指向の科学データの作成、アクセスおよび共有をサポートしています。NetCDF は、データ共有を目的とする標準のデータ保存方法が必要な工学および科学の諸分野で幅広く使用されています。
MATLAB の高水準関数により、NetCDF ファイルまたは OPeNDAP NetCDF データ ソースからのデータのインポート処理が簡略化されます。MATLAB の低水準関数では、NetCDF C ライブラリ内のルーチンにアクセスして、インポート処理をさらに制御できます。低水準関数を効果的に使用するには、NetCDF C インターフェイスに関する知識が必要です。NetCDF ドキュメンテーションは、Unidata Web サイトで入手できます。
メモ
互換性のない異なる形式の Common Data Format (CDF) ファイルのインポートの詳細は、低水準関数による CDF ファイルのインポートを参照してください。
OPeNDAP サーバーへの接続時のセキュリティに関する考慮事項
信頼済みの OPeNDAP サーバーにのみ接続することを強く推奨します。R2020b 以降、既定では、MATLAB NetCDF インターフェイスは、サーバー証明書およびホスト名の検証を実行することにより、信頼済みのデータ アクセス プロトコル (DAP) エンドポイントにのみ接続します。以前は、OPeNDAP サーバーにアクセスした場合、サーバー証明書とホスト名の両方の検証が既定で無効になっていました。
サーバー証明書とホスト名の検証を無効にする場合は、現在のディレクトリ内の .dodsrc
ファイルに以下の行を追加します。
[mylocaltestserver.lab] HTTP.SSL.VALIDATE=0
これにより、MATLAB NetCDF インターフェイスは、サーバー証明書またはホスト名の検証を実行せずに、URI mylocaltestserver.lab
で指定された名前の OPeNDAP サーバーに接続するようになります。この変更は、次回以降の MATLAB セッションでも維持されます。
高水準関数による NetCDF ファイルからの読み取り
この例では、高水準関数を使用して NetCDF ファイルの内容を表示し、読み取る方法を説明します。
サンプルの NetCDF ファイル example.nc
の内容を表示します。
ncdisp('example.nc')
Source: \\matlabroot\toolbox\matlab\demos\example.nc Format: netcdf4 Global Attributes: creation_date = '29-Mar-2010' Dimensions: x = 50 y = 50 z = 5 Variables: avagadros_number Size: 1x1 Dimensions: Datatype: double Attributes: description = 'this variable has no dimensions' temperature Size: 50x1 Dimensions: x Datatype: int16 Attributes: scale_factor = 1.8 add_offset = 32 units = 'degrees_fahrenheit' peaks Size: 50x50 Dimensions: x,y Datatype: int16 Attributes: description = 'z = peaks(50);' Groups: /grid1/ Attributes: description = 'This is a group attribute.' Dimensions: x = 360 y = 180 time = 0 (UNLIMITED) Variables: temp Size: [] Dimensions: x,y,time Datatype: int16 /grid2/ Attributes: description = 'This is another group attribute.' Dimensions: x = 360 y = 180 time = 0 (UNLIMITED) Variables: temp Size: [] Dimensions: x,y,time Datatype: int16
ncdisp
は、ファイルのすべてのグループ、次元および変数定義を表示します。制限のない次元は UNLIMITED
というラベルで識別されます。
変数 peaks
からデータを読み取ります。
peaksData = ncread('example.nc','peaks');
peaksData
出力に関する情報を表示します。
whos peaksData
Name Size Bytes Class Attributes peaksData 50x50 5000 int16
変数に関連付けられている description
属性を読み取ります。
peaksDesc = ncreadatt('example.nc','peaks','description')
peaksDesc = z = peaks(50);
変数データの 3 次元表面プロットを作成します。description
属性の値を Figure のタイトルとして使用します。
surf(double(peaksData)) title(peaksDesc);
/grid1/
グループに関連付けられている description
属性を読み取ります。関数 ncreadatt
の 2 番目の入力としてグループ名を指定します。
g = ncreadatt('example.nc','/grid1/','description')
g = This is a group attribute.
グローバル属性 creation_date
を読み取ります。グローバル属性の場合は、ncreadatt
の 2 番目の入力引数を '/'
として指定します。
creation_date = ncreadatt('example.nc','/','creation_date')
creation_date = 29-Mar-2010
NetCDF ファイルのすべての制限のない次元の検索
この例では、高水準関数を使用して、NetCDF ファイルに含まれる 1 つのグループ内の制限のない次元をすべて検索する方法を説明します。
関数 ncinfo
を使用して、サンプル ファイル example.nc
の /grid2/
グループに関する情報を取得します。
ginfo = ncinfo('example.nc','/grid2/')
ginfo = Filename: '\\matlabroot\toolbox\matlab\demos\example.nc' Name: 'grid2' Dimensions: [1x3 struct] Variables: [1x1 struct] Attributes: [1x1 struct] Groups: [] Format: 'netcdf4'
ncinfo
は、グループに関する情報を含む構造体配列を返します。
このグループの制限のない次元を示すブール値のベクトルを取得します。
unlimDims = [ginfo.Dimensions.Unlimited]
unlimDims = 0 0 1
unlimDims
ベクトルを使用して、制限のない次元を表示します。
disp(ginfo.Dimensions(unlimDims))
Name: 'time' Length: 0 Unlimited: 1
低水準関数による NetCDF ファイルからの読み取り
この例では、netcdf
パッケージの MATLAB 低水準関数を使用して、NetCDF ファイルの次元、変数および属性に関する情報を取得する方法を説明します。これらの関数を効果的に使用するには、NetCDF C インターフェイスに関する知識が必要です。
NetCDF ファイルを開く
関数 netcdf.open
を使用して、サンプルの NetCDF ファイル example.nc
を読み取り専用アクセスで開きます。
ncid = netcdf.open('example.nc','NC_NOWRITE')
ncid = 65536
netcdf.open
はファイル識別子を返します。
NetCDF ファイルの情報の取得
関数 netcdf.inq
を使用して、ファイルの内容に関する情報を取得します。この関数は、NetCDF ライブラリ C API の関数 nc_inq
に相当します。
[ndims,nvars,natts,unlimdimID] = netcdf.inq(ncid)
ndims = 3
nvars = 3
natts = 1
unlimdimID = -1
netcdf.inq
では、ファイルの次元、変数およびグローバル属性の数と、ファイルに含まれる制限のない次元の識別子が返されます。制限のない次元は増大の可能性があります。
関数 netcdf.inqAttName
を使用してファイルのグローバル属性の名前を取得します。この関数は、NetCDF ライブラリ C API の関数 nc_inq_attname
に相当します。属性名を取得するには、その属性が関連付けられている変数の ID と属性番号を指定しなければなりません。特定の変数に関連付けられていないグローバル属性にアクセスするには、定数 'NC_GLOBAL'
を変数 ID として使用します。
global_att_name = netcdf.inqAttName(ncid,... netcdf.getConstant('NC_GLOBAL'),0)
global_att_name = 'creation_date'
関数 netcdf.inqAtt
を使用して、属性のデータ型と長さに関する情報を取得します。この関数は、NetCDF ライブラリ C API の関数 nc_inq_att
に相当します。この場合も、netcdf.getConstant('NC_GLOBAL')
を使用して変数 ID を指定します。
[xtype,attlen] = netcdf.inqAtt(ncid,... netcdf.getConstant('NC_GLOBAL'),global_att_name)
xtype = 2
attlen = 11
関数 netcdf.getAtt
を使用して属性の値を取得します。
global_att_value = netcdf.getAtt(ncid,... netcdf.getConstant('NC_GLOBAL'),global_att_name)
global_att_value = '29-Mar-2010'
関数 netcdf.inqDim
を使用して、ファイルの最初の次元に関する情報を取得します。この関数は、NetCDF ライブラリ C API の関数 nc_inq_dim
に相当します。関数 netcdf.inqDim
の 2 番目の入力は次元 ID であり、次元を識別するための 0 ベースのインデックスです。最初の次元のインデックス値は 0
です。
[dimname,dimlen] = netcdf.inqDim(ncid,0)
dimname = 'x'
dimlen = 50
netcdf.inqDim
は、次元の名前と長さを返します。
関数 netcdf.inqVar
を使用してファイルの最初の変数に関する情報を取得します。この関数は、NetCDF ライブラリ C API の関数 nc_inq_var
に相当します。関数 netcdf.inqVar
の 2 番目の入力は変数 ID であり、変数を識別するための 0 ベースのインデックスです。最初の変数のインデックス値は 0
です。
[varname,vartype,dimids,natts] = netcdf.inqVar(ncid,0)
varname = 'avagadros_number'
vartype = 6
dimids = []
natts = 1
netcdf.inqVar
によって、変数の名前、データ型、次元 ID および変数に関連付けられている属性の数が返されます。vartype
で返されるデータ型の情報は、NC_INT
や NC_BYTE
などの NetCDF データ型定数の数値です。これらの定数の詳細は、NetCDF ドキュメンテーションを参照してください。
NetCDF ファイルからのデータの読み取り
関数 netcdf.getVar
を使用して、サンプル ファイル内の変数 avagadros_number
に関連付けられたデータを読み取ります。関数 netcdf.getVar
の 2 番目の入力は変数 ID であり、変数を識別するための 0 ベースのインデックスです。変数 avagadros_number
のインデックス値は 0
です。
A_number = netcdf.getVar(ncid,0)
A_number = 6.0221e+23
A_number
のデータ型を表示します。
whos A_number
Name Size Bytes Class Attributes A_number 1x1 8 double
netcdf
パッケージの関数では、NetCDF データ型に最も一致する MATLAB クラスが自動的に選択されますが、netcdf.getVar
でオプションの引数を使用して、返されるデータのクラスを指定することもできます。
avagadros_number
に関連付けられたデータを読み取り、データを single
クラスとして返します。
A_number = netcdf.getVar(ncid,0,'single'); whos A_number
Name Size Bytes Class Attributes A_number 1x1 4 single
NetCDF ファイルを閉じる
NetCDF ファイル example.nc
を閉じます。
netcdf.close(ncid)
NetCDF ファイルからのデータの対話的な読み取り
この例では、[データのインポート] タスクを使用して netCDF ファイルの構造を調べ、ファイルからデータをインポートしてから、データを解析して可視化する方法を示します。
データセットのダウンロード
米国海洋大気庁物理科学研究所 (NOAA PSL) は、米国国立雪氷データ センター (NSIDC) によって編纂された北半球の内挿積雪データのデータセットをホストしています。このデータセットを現在のフォルダーにダウンロードします。
filename = "snowcover.mon.mean.nc"; url = "https://downloads.psl.noaa.gov/Datasets/snowcover/snowcover.mon.mean.nc"; fullLocalPath = websave(filename,url);
データの探索とインポート
[ライブ エディター] タブで [タスク]、[データのインポート] を選択して、ライブ エディターで [データのインポート] タスクを開きます。[ファイル] フィールドに、netCDF データセットのファイル名 snowcover.mon.mean.nc
を入力します。タスクを使用して、変数とその属性を含むデータの構造を探索します。
グローバル属性により、参照など、ファイルに含まれているデータを全般的に把握できます。
このデータセットには 3 つの次元が含まれています。2 つの空間次元 (
lat
とlon
) と 1 つの時間次元 (time
) です。変数
lat
のサイズは 90 で、units
という属性があり、その値は'degrees_north'
です。この変数は、測定が行われた地点の緯度を、北緯で表します。変数
lon
のサイズは 360 で、units
という属性があり、その値は'degrees_east'
です。この変数は、測定が行われた地点の経度を、東経で表します。変数
time
のサイズは 297 で、無制限の次元をもち、units
という属性があり、その値は'hours since 1800-01-01 00:00:0.0'
です。この変数は、測定が行われた時間を表します。変数
snowcover
のサイズは 360×90×297 で、3 番目の次元は無制限です。units
という属性があり、その値は'%'
です。また、long_name
という属性があり、その値は'Monthly Means Snowcover Extent'
です。変数snowcover
は、変数lat
、lon
、およびtime
を結合します。これは、特定の月における北半球の特定の地点の積雪の月平均を表しています。単位は雪で覆われた地面の割合 (%) です。
変数 lat
、lon
、time
、および snowcover
からデータを選択してインポートします。
このタスクにより生成されるコードを確認するには、タスク パラメーター エリアの下部にある [コードの表示] をクリックしてタスクの表示を展開します。
% Create a structure to store imported netCDF data snowcover_mon_mean = struct(); filename = "snowcover.mon.mean.nc"; snowcover_mon_mean.Variables(1).Name = "lat"; snowcover_mon_mean.Variables(2).Name = "lon"; snowcover_mon_mean.Variables(3).Name = "time"; snowcover_mon_mean.Variables(4).Name = "snowcover"; snowcover_mon_mean.Variables(1).Value = ncread(filename, "/lat"); snowcover_mon_mean.Variables(2).Value = ncread(filename, "/lon"); snowcover_mon_mean.Variables(3).Value = ncread(filename, "/time"); snowcover_mon_mean.Variables(4).Value = ncread(filename, "/snowcover"); clear filename
データの整理と準備
データセットの変数ごとにローカル変数を作成します。
lats = snowcover_mon_mean.Variables(1).Value; lons = snowcover_mon_mean.Variables(2).Value; times = snowcover_mon_mean.Variables(3).Value; snows = snowcover_mon_mean.Variables(4).Value;
lats
と lons
の表示バージョンを作成して、データをプロットする準備をします。各軸に 10 個のラベルを表示する表示スケールを選択します。
numLabels = 10; latDisps = strings(length(lats),1); latsLabelInterval = length(lats)/numLabels; latLabelInds = latsLabelInterval:latsLabelInterval:length(lats); latDisps(latLabelInds) = lats(latLabelInds); lonDisps = strings(length(lons),1); lonsLabelInterval = length(lons)/numLabels; lonLabelInds = lonsLabelInterval:lonsLabelInterval:length(lons); lonDisps(lonLabelInds) = lons(lonLabelInds);
変数 time
の units
属性は、time
の単位が 1800 年の最初以降の時間数であることを示しています。さらに、変数 snowcover
の long_name
属性は、値が月平均であることを示しています。この情報を使用して、times
ベクトルを対応する datetime
値に変換し、また月と年を含めるが日を非表示にした times
の表示バージョンを作成します。
sampTimes = datetime("1800-01-01 00:00:00") + hours(times); sampTimes.Format = "MMM-yyyy"; sampTimeDisps = string(sampTimes);
snows
の最初の次元は緯度を表し、2 番目の次元は経度を表します。このデータのヒートマップを作成するには、最初の次元が列 (経度) に対応し、2 番目の次元が行 (緯度) に対応する必要があります。snows
のこれらの 2 つの次元を並べ替えます。
snows = permute(snows,[2 1 3]);
データのプロット
最初の 1 か月分のデータのヒートマップを作成します。
h = heatmap(lons,lats,snows(:,:,1)); h.XLabel = "Longitude (°E)"; h.YLabel = "Latitude (°N)"; h.XDisplayLabels = lonDisps; h.YDisplayLabels = latDisps; h.Colormap = winter; h.GridVisible = "off";
利用可能なすべての時間のデータをループして、ヒートマップをアニメーション化します。
for i = 1:size(sampTimeDisps) h.ColorData = snows(:,:,i); h.Title = "Percent Snow Cover vs. Location (" + sampTimeDisps(i) + ")"; pause(0.1) end
最大積雪の時間の計算
総積雪を時間の関数として計算してプロットします。
cumSnowsbyTime = squeeze(sum(snows,[1 2])) / (length(lats)*length(lons)); plot(sampTimes,cumSnowsbyTime) xlabel("Date") ylabel("Total Snow Cover (%)") title("Total Snow Cover vs. Date")
最大積雪の時間を求めてプロットします。
[maxSnowsbyTime,maxSnowsbyTimeInd] = max(cumSnowsbyTime); h = heatmap(lons,lats,snows(:,:,maxSnowsbyTimeInd)); h.XLabel = "Longitude (°E)"; h.YLabel = "Latitude (°N)"; h.Title = "Percent Snow Cover vs. Location (" + sampTimeDisps(maxSnowsbyTimeInd) + ")"; h.XDisplayLabels = lonDisps; h.YDisplayLabels = latDisps; h.Colormap = winter; h.GridVisible = "off";
最大積雪の月は 1978 年 2 月でした。
最大積雪の場所の計算
平均積雪を場所の関数として計算してプロットします。
cumSnowsbyLoc = sum(snows,3) / length(times); h = heatmap(lons,lats,cumSnowsbyLoc); h.XLabel = "Longitude (°E)"; h.YLabel = "Latitude (°N)"; h.Title = "Average Percent Snow Cover vs. Location"; h.XDisplayLabels = lonDisps; h.YDisplayLabels = latDisps; h.Colormap = winter; h.GridVisible = "off";
最大積雪の場所を求めてプロットします。
maxSnowsbyLocVal = max(cumSnowsbyLoc,[],"all"); maxSnowsbyLoc = maxSnowsbyLocVal*(cumSnowsbyLoc == maxSnowsbyLocVal); h = heatmap(lons,lats,maxSnowsbyLoc); h.XLabel = "Longitude (°E)"; h.YLabel = "Latitude (°N)"; h.Title = "Locations of Maximum Snow Cover"; h.XDisplayLabels = lonDisps; h.YDisplayLabels = latDisps; h.Colormap = winter; h.GridVisible = "off";
最大積雪の場所には、グリーンランドの大部分、およびスバールバル諸島とフランツ ヨシフ諸島の一部が含まれています。
著作権表示
北半球Ease-Grid積雪データ。NOAA PSL (米国コロラド州ボルダー) のウェブサイト https://psl.noaa.gov
. から抜粋。