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むだ時間をもつプラント モデルの補償器設計

この例では、制御システム デザイナーを使用してむだ時間をもつプラントの補償器を設計する方法について説明します。

むだ時間をもつフィードバック システムの解析と設計

むだ時間システムで作業する場合は、むだ時間を直接サポートする解析ツールや設計ツールを使用すると、性能と安定性を正確に評価できるので効果的です。ただし、制御設計法やアルゴリズムの多くは、むだ時間を直接処理できません。一般的な回避策は、パデ近似 (オールパス フィルター) によって遅延を置き換えることです。この近似は低周波数でしか有効でないため、正しい近似の次数を選択して、近似の有効性を確認することが重要となります。

制御システム デザイナーはさまざまな設計ツールおよび解析ツールを提供します。これらのツールの中には、むだ時間を直接サポートしているものもあれば、近似を通じて間接的にむだ時間をサポートしているものもあります。これらのツールを使用して制御システムの補償器を設計し、近似の使用時になされる妥協を可視化します。

プラント モデル

この例では単一フィードバック構成を使用し、プラント モデルには次のむだ時間があります。

G(s)=e-0.5s1s+1

プラント モデルを作成します。

G = tf(1,[1,1],'InputDelay',0.5);

むだ時間をサポートするツール

アプリでむだ時間を直接サポートするツールは次のとおりです。

  • ボード エディターとニコルス エディター

  • 時間応答プロット

  • 周波数応答プロット

制御システム デザイナーを開き、プラント モデルをインポートし、ボード エディター構成を使用します。

controlSystemDesigner({'bode'},G) 

ボード線図の位相応答は、正確な遅延の表現によりロールオフ効果を示しています。ステップ応答の先頭は、0.5 秒の遅延を正確に表現しています。

開ループ応答のナイキスト線図を開きます。データ ブラウザーで LoopTransfer_C を右クリックし、[プロット]、[ナイキスト] を選択します。

原点を中心にらせん状に巻いているナイキスト応答は、むだ時間が正確に表現された結果です。

むだ時間を近似するツール

アプリでむだ時間を近似するツールは次のとおりです。

  • 根軌跡エディター

  • 極/零点プロット

  • 大半の自動調整法

近似を使用する場合、結果は正確ではなく、近似の有効性に依存します。制御システム デザイナーの各ツールは、むだ時間が近似されている場合に警告ペインを表示します。

開ループ応答の根軌跡エディター プロットを開きます。[調整法] をクリックし、[根軌跡エディター] を選択します。[編集する応答の選択] ダイアログ ボックスで、[プロット] をクリックします。

近似設定の変更

近似設定を変更するには、通知内のハイパーリンクをクリックします。[制御システム デザイナー 基本設定] ダイアログ ボックスにある [むだ時間] タブで、[パデ次数]4 に指定します。あるいは、近似の正確さが必要とされる帯域幅を設定できます。

高次のパデ近似は極と零点を根軌跡プロットに追加します。

参考

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