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filt

DSP 形式で離散伝達関数を指定

    説明

    filt を使用して、Control System Toolbox™ の線形解析ツールおよび制御設計ツールで使用する、デジタル信号処理 (DSP) 形式の離散時間伝達関数モデルを作成します。フィルターをベクトル データに適用する場合は、filter を参照してください。

    DSP では通常、伝達関数を z-1 の有理式として使用し、分子および分母の項を z-1"昇べきの順" に並べます。以下に例を示します。

    H(z1)=2+z11+0.4z1+2z2

    filtVariable プロパティを 'z^-1' に設定して tf オブジェクトを作成します。詳細については、tf を参照してください。

    sys = filt(numerator,denominator) は、引数 numerator および引数 denominator で指定された係数を使用して、DSP 形式の離散時間伝達関数モデルを作成します。サンプル時間は未指定のままになります。詳細については、tf のリファレンス ページを参照してください。

    sys = filt(numerator,denominator,ts) は、離散時間伝達関数のサンプル時間を設定します。

    sys = filt(m) は、静的ゲイン行列 m を表す離散時間伝達関数モデルを作成します。

    sys = filt(___,Name,Value) は、前述の任意の入力引数の組み合わせについてペアの引数 Name,Value を 1 つ以上使用して、離散時間伝達関数モデルのプロパティを設定します。利用可能なプロパティとその値の詳細は、tf のリファレンス ページを参照してください。

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    この例では、filt コマンドを使用して、DSP 形式の離散時間伝達関数モデルを作成します。

    まず、分子係数と分母係数を z^-1 の昇順で指定します。

    numerator = [2,5,7];
    denominator = [6,8,3];

    filt を使用して、必要な DSP 指向の伝達関数モデルを作成します。

    sys = filt(numerator,denominator)
    sys =
     
      2 + 5 z^-1 + 7 z^-2
      -------------------
      6 + 8 z^-1 + 3 z^-2
     
    Sample time: unspecified
    Discrete-time transfer function.
    

    sys は、サンプル時間が指定されていない DSP 形式の離散時間伝達関数モデルです。つまり、係数は z^-1 の昇べきの順になります。

    あるいは、Variable プロパティを z^-1 に設定することで、tf コマンドを使用して同じモデルを作成できます。

    systf = tf(numerator,denominator,-1,'Variable','z^-1')
    systf =
     
      2 + 5 z^-1 + 7 z^-2
      -------------------
      6 + 8 z^-1 + 3 z^-2
     
    Sample time: unspecified
    Discrete-time transfer function.
    

    この例では、サンプル時間が 0.2 秒の DSP 指向の離散時間伝達関数モデルを作成します。

    まず、分子係数と分母係数を z^-1 の昇べきの順で指定します。

    numerator = [2,9];
    denominator = [3,5,7,1];
    ts = 0.2;

    次に、filt を使用して、必要な伝達関数モデルを作成します。

    sys = filt(numerator,denominator,ts)
    sys =
     
              2 + 9 z^-1
      --------------------------
      3 + 5 z^-1 + 7 z^-2 + z^-3
     
    Sample time: 0.2 seconds
    Discrete-time transfer function.
    

    sys は、サンプル時間が 0.2 秒の DSP 形式の離散時間伝達関数モデルです。DSP 指向の伝達関数モデルの係数は、z^-1 の昇順に並べられます。

    この例では、DSP 形式で 2 入力の離散時間伝達関数モデルを作成し、入力をそれぞれ channel1 および channel2 と名付けます。

    numerator = {1,[1 0.3]};
    denominator = {[1 1 2],[5 2]};
    sys = filt(numerator,denominator,'InputName',{'channel1' 'channel2'})
    sys =
     
      From input "channel1" to output:
              1
      -----------------
      1 + z^-1 + 2 z^-2
     
      From input "channel2" to output:
      1 + 0.3 z^-1
      ------------
       5 + 2 z^-1
     
    Sample time: unspecified
    Discrete-time transfer function.
    

    あるいは、Variable プロパティを z^-1 に設定することで、tf コマンドを使用して同じ離散時間伝達関数モデルを作成することもできます。

    systf = tf(numerator,denominator,-1,'InputName',{'channel1' 'channel2'},'Variable','z^-1')
    systf =
     
      From input "channel1" to output:
              1
      -----------------
      1 + z^-1 + 2 z^-2
     
      From input "channel2" to output:
      1 + 0.3 z^-1
      ------------
       5 + 2 z^-1
     
    Sample time: unspecified
    Discrete-time transfer function.
    

    入力引数

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    分子係数。以下として指定します。

    • 'z^-1' の昇べきの順に並べた多項式係数の行ベクトル。

    • 行ベクトルからなる NyNu 列の cell 配列。これは MIMO 伝達関数を指定し、Ny は出力の数、Nu は入力の数です。cell 配列の各要素は、与えられた入出力のペアに対し分子係数を指定します。NumeratorDenominator の両方を cell 配列として指定する場合、これらの次元は同じでなければなりません。

    Numerator の係数は実数値または複素数値にできます。

    分母係数。以下として指定します。

    • 'z^-1' の昇べきの順に並べた多項式係数の行ベクトル。

    • 行ベクトルからなる NyNu 列の cell 配列。これは MIMO 伝達関数を指定し、Ny は出力の数、Nu は入力の数です。cell 配列の各要素は、与えられた入出力の組み合わせに対し分子係数を指定します。NumeratorDenominator の両方を cell 配列として指定する場合、これらの次元は同じでなければなりません。

    MIMO 伝達関数のすべての SISO エントリが同じ分母をもつ場合、Denominator を行ベクトル、Numerator を cell 配列として指定することができます。

    Denominator の係数は実数値または複素数値にできます。

    サンプル時間。以下として指定します。

    • 離散時間システムのサンプリング周期を表す正のスカラー。ts は、伝達関数オブジェクトの TimeUnit プロパティで指定される時間単位で指定します。

    • -1 (サンプル時間が指定されていない離散時間システムの場合)。

    静的ゲイン。スカラーまたは行列として指定します。システムの静的ゲインまたは定常状態ゲインは、定常状態の条件下における出力の入力に対する比率を表します。

    出力引数

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    DSP 形式の離散時間伝達関数。Variable プロパティが 'z^-1' に設定された伝達関数 (tf) モデル オブジェクトとして返されます。詳細については、tf のリファレンス ページを参照してください。

    バージョン履歴

    R2006a より前に導入

    参考